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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2013/05/10

大内POレポート 東京、ひろい。(1)

おはようございます。大内です。「POレポート」、初回ということで現場レポート感たっぷりでお伝えしたいと思います。

ただいま5月10日金曜日、午前8時30分。三宅島大学本校舎です。前日入りしたリサーチャー※の冨田了平さんと、コーヒーと「あまちゃんのテーマ」で目を覚ましているところです。三宅島には東京の竹芝桟橋から午後10時20分出港、三宅島午前5時着。大型客船「さるびあ丸(21歳)」で6時間半、180キロの船旅です。竹芝桟橋では慶應義塾大学加藤文俊研究室の学生たちに偶然遭遇しました。自身の卒業研究のために島に渡るとのこと。フェイクの大学である三宅島大学が入口になってリアルな大学生の研究テーマになっている。このことも3年目を迎えるこの事業の成果といえます。

日比野克彦さんをはじめとするアーティストなど約22名が大挙してリサーチした平成23年6月のファーストアプローチから3年目。この6時間半、180キロを何度も行き来しています。アートプロジェクトにはどの事業にもその年のテーマがありますが、3年目はえてして重要な年です。三宅島大学は、1年目はリサーチと大学の立ち上げ、2年目はマネージャーの常駐と本校舎の拠点化、と様々な物語を紡ぎながら経過しました。3年目は卒業生を出すことと大学の発信/定着がテーマとなります。今回の渡航目的は共催団体である三宅村との年度始めの協議です。いかにしてアートプロジェクト「三宅島大学」を地域に作用する「よいもの」にしていくか。アートプロジェクトは「わたしとあなた」「わたしとまち」の関係性を創るものです。つまり、丁寧に築き、時間がかかるもの。単発のイベントでない三宅島大学という仕組みだからこそできることを頭に据えながら3年目と向き合い、デザインしていきます。

大内三宅島写真0510
三宅島大学本校舎の壁一面黒板。山城映像プロジェクトチームの作戦会議の痕跡。

・・・リサーチャーの山城大督さんが起きてきました。今年度の山城チームは4人。山城さんは1年目のリサーチチームに参加しました。今年度、プロジェクトチームとともに映像プロジェクトに着手します。チームメンバーは、昨年度リサーチャーの有佐祐樹さん。コーヒーを入れてくれた冨田さんは昨年度の「三宅島在住アトレウス家」のメンバーでした。そして三宅村と友好都市の小金井市で政策として実施している「小金井アートフル・アクション!」のメンバーでもある戸舘正史さん。新マネージャーは昨年度、五十嵐靖晃さんの「そらあみ-三宅島-」でアシスタントをしていた塩野谷卓さんが着任。「ひと」がいないことにはアートプロジェクトは動きません。昨年度、本校舎に住み込みマネージャーが常駐したことで、島の方々との関係が少しずつできてきました。今年度、三宅村役場には事務局として担当のアートコーディネーター吉田武司さんが着任。吉田さんは昨年度まで埼玉県北本市でアートプロジェクト「北本ビタミン」を企画運営するアートNPOに所属していたプロフェッショナルです。
これらの多層的な「ひと」の関わりと経験がプロジェクトを豊かにしていきます。万全の新体制。この体制デザインがうまくいくんじゃないか、と予感がするとき、プログラムオフィサーは人知れずニヤリとします。

本校舎近くのカフェの沖山さんにごあいさつ。カフェは明日で1周年とのこと。そういえば昨年はオープンの日にお邪魔しました。毎年5月のよい時期に島に仕込みに訪れていることになります。火山とともに、逞しく在る三宅島の時間の流れで、三宅島大学がひとつの時代になりますよう。今日も東京の広さを感じつつ、浜で何かをひろってもう明日戻ります。

※リサーチャー:三宅島大学の「調査・研究」機能を担い、島に滞在しながらリサーチを展開するメンバー。
島を知り、人に出会い、ニーズを発掘するなど、三宅島の多様な魅力を独自の視点で探求する。

三宅島大学HP http://www.miyakejima-university.jp/

東京アートポイント計画 プログラムオフィサー 大内伸輔

プロフィール

法政大学社会学部卒業後、茨城県取手市の「取手アートプロジェクト」のTAP塾でインターンを2年。その後も現場スタッフとして関わる。平成18年より東京芸術大学音楽環境創造科教育研究助手。2009年から現職。現場と行政の気持ちのわかる中間支援組織の担い手としてアートプロジェクトの神髄を求めて日々精進中。

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