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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2016/11/30

アーティスト・大巻伸嗣「Memorial Rebirth(メモリアル・リバース) 千住 2016 青葉」 ──アートで地域の縁をつなぐ──

2016年10月9日(日)に、「Memorial Rebirth 千住 2016 青葉」が開催されました。昼と夜の2部制で、それぞれまったく違う景色がシャボン玉によって彩られ、多くの人々が千寿青葉中学校の校庭に集まりました。

Memorial Rebirth 千住 2016 青葉とは

「Memorial Rebirth 千住 2016 青葉」は、アーティストであり東京藝術大学美術学部彫刻科教授の大巻伸嗣氏と、千住の住民や学生たちが作り上げるイベントです。「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」事業が展開する「Memorial Rebirth 千住」のプログラムは、2011年から始まり、今年で6回目を迎えます。

「Memorial Rebirth」という作品は、もともと無数のシャボン玉を作り出し、ふだん見慣れている風景を変貌させ、新たな記憶を呼び起こす、大巻氏によるアートパフォーマンス作品です。千住エリアに限らず、国内外の様々な所で展開されてきました。

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「Memorial Rebirth 千住」(以下、メモリバ)は、企画から当日の運営まで、千住エリアの人々とアーティストが隔たりなく一緒に関わるのが特徴でもあります。

イベントには、アーティストの大巻氏をはじめ、桔梗みすず氏、東京都の谷中を活動拠点としている音楽ユニットの「くるくるチャーミー」(大西健太郎氏、富塚絵美氏、松岡美弥子氏)、音まちビッグバンド他が参加。さらに、千住にキャンパスを構える東京電機大学や東京藝術大学音楽学部の学生たちや、千寿青葉中学校の保護者たちで結成された「千寿青葉中おやじおふくろの会」などが中心になり、イベントを作り上げてきました。

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大巻伸嗣氏(左)と、「くるくるチャーミー」の富塚絵美氏(右)

メモリバの目玉でもあるシャボン玉は、校庭の真ん中に設置した専用の装置からブクブクと出てきます。装置の改修・メンテナンスから、本番の操作は、東京電機大学の学生と千住の小学校の現役PTAやOBのお父さんたちを中心に集まった、市民チーム「大巻電機 K.K」が担います。

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東京電機大学博士課程の一年生。彼も大巻電機 K.Kのメンバーで、ほぼ毎年メモリバに参加しているという

針と糸を使わないアクセサリー作りワークショップも同時開催

会場では、和柄の布や着物の反物を選んで、髪飾りやブレスレットを作るワークショップも行われていました。

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カラフルな布を集めて、針と糸を使わず、布をたばねて結んで、思い思いのアクセサリーを作ります。千寿青葉中学校のアート部の部員たちが有志で集まり、お祭りに参加する子供たちや大人にも、作り方を教えてあげていました。

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完成したら、早速アクセサリーを身につけてメモリバでお馴染み「しゃボンおどり」を踊りましょう!

みんなで踊る千住発のオリジナル盆踊り「しゃボンおどり」

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「くるくるチャーミー」の大西健太郎氏

大巻氏と「くるくるチャーミー」が地元の舞踊の先生とともに考案した盆踊り「しゃボンおどり」は4年前から続いている、オリジナルの盆踊りです。

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当日は、千寿青葉中学校の生徒たちも演奏に加わり、踊りを盛り上げていました。

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しゃボンおどりの最中、装置から次々とシャボン玉が空に舞い上がります。シャボン玉が舞う中、楽しそうに踊る人もいれば、大はしゃぎでシャボン玉を捕まえようとする子供たちも。

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昼の部では、メモリバが人々が思い思いに集う場になっていることを実感。地元の人々や、学生たちが賑やかに集まっている校庭を、シャボン玉が彩りました。

夜はシャボン玉と音の幻想的なコラボレーション

さて、夜の部では、まったく雰囲気が変わります。

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開催されたのは秋の初めで、まだそこまで肌寒くはありませんが、日が落ちるのは早く、18時頃にはあたりは暗闇に包まれます。

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音楽の演奏が始まるとともに、ゆらゆらと湧き上がるシャボン玉。燃え上がる炎のようにも、深い海の底の泡のようにも見えます。

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幻想的なシャボン玉の中で、静かに始まった演奏とパフォーマンス。昼の賑わいとは一転、地域の人々にとっては見慣れた中学校の校庭が、とたんに不思議な世界へと早変わり。

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パフォーマンス終了後も、大巻氏たちのはからいで、ありったけのシャボン玉が夜空に舞いました。

みんなでワイワイ踊りを楽しむ昼の部と、スティール・パン、ピアノやガムランなど、表情豊かな音で幻想的な雰囲気に包まれる夜の部の両方を見ることで、千住という街での記憶がより深く刻まれた気がします。子供から大人まで、自由に楽しむことができるメモリバは、確実に地域の行事として、定着しつつあるようです。


「Memorial Rebirth(メモリアル・リバース) 千住 2016 青葉」イベント詳細

  • 開催日時:2016年10月9日(日)昼の部15:00〜、夜の部18:00〜(各回30分程度)
  • 会場:千寿青葉中学校(東京都足立区千住宮元町27­-6)
  • 主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学音楽学部・大学院国際芸術創造研究科、特定非営利活動法人音まち計画、足立区
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/14270/

写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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