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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

アーツアカデミー

アーツカウンシル東京の芸術文化事業を担う人材を育成するプログラムとして、現場調査やテーマに基づいた演習などを中心としたコース、劇場運営の現場を担うプロデューサー育成を目的とするコース等を実施します。

2018/05/01

アーツアカデミー2017レポート第7回:芸術文化政策の最前線――「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」、「東京芸術祭」の現場から

[話し手〔いずれもアーツカウンシル東京〕:三好勝則(機構長)、角南晴久(企画助成課オリンピック・パラリンピック文化戦略担当係長)、佐藤道元(企画助成課 企画係長)]

アーツカウンシル東京が2012年から実施している「アーツアカデミー」。

1年を通してアートをめぐるリサーチを行いながら、東京都の文化政策や助成制度を知り、芸術文化活動の評価のあり方について考え、創造の現場が抱える問題を共有するアーツアカデミーは、これからのアートの世界を豊かにしてくれる人材を育てるインキュベーター(孵化装置)です。

当レポートでは、アーツアカデミーの1年をご紹介していきます。


12月5日の研究会は、アーツカウンシル東京の3人のスタッフが話し手となって行われました。アーツカウンシル東京機構長の三好勝則、そして「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」の企画・運営に携わっている企画助成課オリンピック・パラリンピック文化戦略担当係長の角南晴久、「東京芸術祭」の2016年の立ち上げから企画・運営に携わっている企画助成課 企画係長の佐藤道元が、それぞれ現在進行形の東京の芸術文化政策についてレクチャーを行いました。

2020年開催「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の背景にある考え方とは?

三好勝則 アーツカウンシル東京 機構長

2020年に向けて芸術文化活動を盛り上げるため、アーツカウンシル東京は様々な文化事業を実施・支援する「東京文化プログラム」を展開しています。その基本となっているのが、都が定めた8つの文化戦略からなる「東京文化ビジョン」です。文化戦略の7つ目までは東京が芸術文化を振興することによって目指す方向という実行内容について述べたもので、文化戦略の8つ目は、東京が持つ芸術文化の力を国内外に示すために東京文化プログラムを実施することとなっています。

「オリンピック・パラリンピック開催時期に照準を合わせて実施予定の『Tokyo Tokyo FESTIVAL』は、この「東京文化ビジョン」の文化戦略8を形にしたものです。いわば、文化戦略1~7の内容を盛り込んだ様々なメニューが器とすれば、それを載せる『お盆』を用意しましたよ、ということです」、と三好機構長は語ります。

また、アーツカウンシル東京では「Tokyo Tokyo FESTIVAL」に向けた企画公募にも力を入れています。そのねらいはどこにあるのでしょうか。

「ひとつは、公募を通して『Tokyo Tokyo FESTIVAL』への注目を集めたいということです。もうひとつは、世界から注目される機会なので、できるだけ大勢の方に関わってチャンスを活かしてほしいということです。多くの人を巻き込むアートが生まれてほしいですね」

三好機構長のレクチャーは、「調査研究員のような若い皆さんが、ぜひ企画を考えて応募してください!」との熱いメッセージでしめくくられました。

「Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」の現場から

角南晴久(企画室 企画助成課 オリンピック・パラリンピック文化戦略担当係長)

Tokyo Tokyo FESTIVAL 企画公募」は、「誰もが参加できる」公募とするために、エントリーの方法にも工夫が凝らされています。

「第一段階として『アイデア』を募集します。アイデアですから、応募用のフォーマットは通常の助成申請などの様式に比べるとシンプルで、収支予算書もありません。団体でなくても、個人で応募できることも特徴です」

調査研究員からの「審査はどのように行われるのですか? そのプロセスは知ることができるのですか?」という質問に対して、角南係長はこう答えます。

「たとえばドラえもんの『どこでもドア』を作るというアイデアだけでは、実現可能性がみえません。でも、『形を変えれば可能』、『技術者の協力が得られれば可能』ということであれば、一見突飛なアイデアでも採択される可能性があります。最終選考の前に、実現可能性をはかるフィジビリティ(Feasibility)調査を行います。また、採択決定後に企画提案者を交えた公開フォーラムを行うことも考えています。採択の過程とともに、アイデアの源や企画意図を伝え、皆様に関心をもっていただけたらと思います」

フェスティバルの周知やプロモーションの問題など、他にも調査研究員から突っ込んだ質問が続きましたが、事前広報の成果は着実に出ている様子です。今回の企画公募に関して12月に4回の開催を予定していた説明会はすべて予約が定員を超えてしまい、1月にも追加の説明会を行うとのことでした。

「東京芸術祭」の現場から

佐藤道元(企画室 企画助成課 企画係長/シニア・プログラムオフィサー)

佐藤係長は東京芸術祭の立ち上げの時期から関わるなかで、まず、この芸術祭の目的について様々な検討が行われてきたことを説明します。

「都市生活における芸術文化とは? 東京の文化とは? 創作者にとってフェスティバルの意味とは? そういう問いに対するソリューションを、東京芸術祭を通して提示したい。そして、都市の活力を芸術文化で高めていくひとつのツールになれればと考えています」

東京芸術祭は、フェスティバルトーキョー(F/T)、芸劇オータムセレクション、としま国際アート・カルチャー都市発信プログラム、APAF-アジア舞台芸術人材育成部門と、強みの異なる4つの事業で構成されています。2017年3月には、2018年から2020年までの東京芸術祭の総合ディレクターとして宮城聰さんが参画することが決定しました。また、2017年11月には各事業のディレクターが集まる「プランニングチーム」が結成され、宮城さんのもとで協議しながら進めていく体制となりました。

ところで、東京芸術祭の全体の枠組みを検討する際には、世界各国の規模感の近いのフェスティバルの運営方法等を参考にしたそうです。具体的には、バンクーバーのPuSh、台湾の国際芸術節 “TIFA: Taiwan International Festival of Arts”、モントリオールのフェスティバル・トランスアメリーク、ブリュッセルのクンステン・フェスティバル・デザールなど。中でもポートランド(オレゴン州)のT:BAフェスティバルは、バックグラウンドの異なるディレクターを3年ごとに外部から招く体制を取っており(当時)、非常に参考になったそうです。

「東京芸術祭も、複数のディレクターが各々の視点でプログラムを出し合うことで、より有機的でクリエイティブなものを生み出せたら。東京にとって2020年は一つの山なのは事実ですが、そこで終わらず、2021年以降も発展させていくことが目標」

都民の評価や参加状況をどう評価するか、個々の演目ではなく芸術祭そのもののファンを増やすには……など、調査研究員からの質疑が続き、この日のセミナーも予定時間を大幅に超えて終了しました。

次回は、オリンピック・パラリンピック組織委員会の堀和憲さんをゲストスピーカーに迎えます。きわめてタイムリーな話題が飛び出しそうな次回アーツアカデミーレポートを、どうぞお楽しみに!

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