東京アートポイント計画通信
東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。
2018/03/30
記憶が温める―Artpoint Letterより
東京アートポイント計画では、毎月1回メールニュース「Artpoint Letter」を配信しています。
2018年2月号のメールニュースより、プログラムオフィサー・佐藤李青の記事をご紹介します。
想起の妖精が「いっぱい思い出してね」と手を振っている。小金井アートフル・アクション!「想起の遠足」での1コマ。(2017年11月18日)
「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」
小学校の朝礼で聞いた校長先生の言葉だったと思います。いつも、この時期になると、この言葉を思い出します。早いもので2017年度も、あと少しです。
今年度は仕事を進めるうえで、何かと思い出すことの多い年でした。
来年度、東京アートポイント計画は10年目を迎えます。この節目の発刊を目指して『10年史(仮)』の準備を始めました。資料を洗い出し、記憶を蘇らせ、関係者へのヒアリングも行っています。ほかにも過去の実績調査に着手したり、「中間支援」の研究会を開催したり、改めて自分たちの足元を確認する作業を進めています。
日々の仕事の成果をもとに対外的な発信も続けてきました。ネットTAMでの連載、Art Support Tohoku-Tokyoでは「7年目の風景」と題して、毎月記事を更新してきました。ほかにも多くの「ことば」を紡いできました。
「ことば」にすることは、思考や経験を(厳密に)切り分けていきます。ぼんやりと覚えていることを、記録をよすがに確認する。なんとなく引っかかることを、明確に「ことば」に落とし込む。そうした作業は微細な記憶を刺激して、ときに思い出しが止まらなくなります。それで手が止まったりします(部屋の片付けすると懐かしいものが出てきて、掃除終わらないという現象に近いです)。
こうした作業には必ず「誰か」が介在します。インタビューをする。写真や素材を手配する。原稿の確認をお願いする。いずれも相手がいる話です。そして、そういった行為は、もれなく相手の記憶も刺激してしまいます(家族や学生時代のアルバムを囲んだときに起こることに似ています)。
記憶の再生は人と人との関係を(再び)温めることにも繋がるのだと思います。あるとき過去の活動の画像提供を求めたところ、すぐにプロジェクトメンバー内で連絡とデータが飛び交い、さながら電光石火の煌きを見せたことがありました。「いい現場」こそ、こうした連鎖反応が起きやすくなる気がします。
いうなれば、記憶の連鎖反応、すなわち、メモリー・チェーンリアクション(英語で言い換えた意味は特にないのですが、それっぽくなるのが不思議です)。こうした効果を触発する過去の記憶は、決して回顧のためだけではなく、ときには「いま」を動かし、未来を構想する原動力になるのだと思います。
みなさん、今年度は、いい記憶がつくれましたか?
プログラムオフィサーによる記事は、東京アートポイント計画が毎月20日前後に配信する月刊メールニュース「Artpoint Letter」でご覧いただけます。
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