Tokyo Art Research Lab(TARL)
Tokyo Art Research Lab は、アートプロジェクトの担い手のためのプラットフォームです。時代に応答したアートプロジェクトをつくる学びの場と、現場の課題やこれから必要な技術について考える研究・開発を「東京アートポイント計画」と連携して行っています。
2018/08/20
受講後はどんな活躍をしてる? アートプロジェクトとの様々な関わり方 ―2018年度 TARL「思考と技術と対話の学校」のポイント(2)
Tokyo Art Research Lab「思考と技術と対話の学校」2017年度「体験を紡ぐ」でのフィールドワークの様子。(ゲスト:鬼頭健吾/場所:YCC ヨコハマ創造都市センター/撮影者:加藤甫)
開校から5年目を迎えたTokyo Art Research Lab「思考と技術と対話の学校」(以下、TARL)は、学生から社会人、初心者から実践者まで、幅広い人が学び、出会い、繋がる、アートプロジェクトの学びの場。これまでにのべ655名が受講しました。
TARL受講生達は、それぞれその後、どんな活躍をしているのでしょうか? 今回の記事では、TARLで学び、新たな一歩を踏み出した人々のストーリーをご紹介します。
■ 受講後はどんな活躍を?
1)アートプロジェクトの現場で活動する
・アートプロジェクトの事務局スタッフになる
・アートプロジェクトのサポーターになる
TARLからは、アートプロジェクトの事務局スタッフを輩出しています。Tokyo Art Research Labと連動して運営している「東京アートポイント計画」の関連プロジェクトはもちろん、各地域のアートNPOやアートプロジェクト事務局に就職する人も。
また、元々の職業はそのままに、オフの時間を使ってサポーターとしてアートプロジェクトに関わり、企画単位で現場を支える人も。複数プロジェクトのサポーターを務めることで、様々な現場と人を繋ぎ、豊かなプロジェクトづくりに貢献しています。
室内直美さん(写真左)は、東京アートポイント計画「リライトプロジェクト」事務局スタッフとして2016年〜2017年度勤務。プロジェクト終了に伴い現在は現場を離れたが、大学院でアートプロジェクトの研究を続けている。
2)新しい団体・組織を立ち上げる
・NPOを立ち上げ、アートプロジェクトを企画する
・アートマネジメントで起業する
仲間と共にNPOや会社を立ち上げ、アートプロジェクトの担い手として活躍する人も。それぞれTARLで得たネットワークと知識を活かし、新たなプロジェクトやサービスを展開しています。アーツカウンシル東京の関連事業でも、「TURN」の運営を担うNPO法人Art’s Embraceや、「Betweens Passport Initiative」の一般社団法人kuriyaは元受講生が立ち上げた組織です。
アートプロジェクト「TURN」の運営を担うNPO法人Art’s EmbraceはTARLを受講したメンバーを中心に結成。美術館でのフェスや交流事業を含む複雑な事業を、組織づくりを行いながら運営している。
一般社団法人kuriyaを立ち上げた海老原周子さんも元受講生(写真左)。東京アートポイント計画事業の一つ「Betweens Passport Initiative」では、日本に暮らす『移民』の若者たちの人材育成を目指すプロジェクトを展開している。詳細はこちらの記事に詳しい。
3)アートプロジェクトを支える仕事に就く
・文化財団、支援機構、文化施設などに就職する
アートプロジェクトの現場に限らず、文化事業の支援を行う機関や施設に就職する人もいます。もともと芸術文化分野で活動してきた人もいますが、一般企業などの芸術文化領域以外から、就職・転職するパターンも増えています。
社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町)の学芸員として働く元受講生の大政愛さん。学生時代から、自身も制作活動を行う傍ら、アートプロジェクトの現場にも携わってきた。2016年から現職。展覧会やイベントの企画運営や、地域との交流、作品のデジタルアーカイブ、受付やカフェ業務など、幅広い業務に関わる。
4)自分の仕事/専門分野に学びを活かす
・勤務先企業でアートプロジェクト企画を実施する
・自社に交流拠点/コミュニティスペースをつくる
・地方自治体で新たな文化事業を担当する
日常に豊かな気付きをもたらすアートプロジェクトの学びは、芸術文化分野以外でも活かせるもの。授業で知り合ったアーティストと勤務先企業で共同企画を実現したり、自分の経営する会社でギャラリーと交流拠点を兼ねたスペースを立ち上げた人もいます。また、地方自治体から東京に出向している方が受講される場合もあり、その場合は地元に戻って、その知識やネットワークを活用されています。
《JUN KITAZAWA & STARBUCKS FIVE LEGS PROJECT》美術家・北澤潤さん、建築家・馬場正尊さん、スターバックスコーヒージャパン株式会社によるアートプロジェクト。スターバックスに勤務している元受講生の酒井恵美子さんが実現した企画。(写真提供:スターバックス コーヒー ジャパン株式会社)
5)アートプロジェクト的所作を日常に取り入れる
・空家や遊休施設を拠点化する
・人やまちと繋がる私的活動をはじめる
・アートにまつわるツアー企画やコミュニティづくりに取り組む
TARLで出会うのは、アートプロジェクトの現場で活躍するプレイヤーにとどまりません。プロジェクトを始める人の熱量や、日常のささやかな表現、社会への関心、人との新しい繋がり方なども、学びを通して「出会うもの」です。そのようなアートプロジェクト的価値観や所作に触れたことがきっかけで、個人的な活動を始める人もいます。
元受講生の山上祐介さんは、授業で出会ったアーティスト・小山田徹さんの「ちっちゃい火を囲む」活動に触発され、小山田さんの許可をもらい、仲間と火を囲み、語り合う活動をはじめた。運営を手伝い、集まるのは、TARLやアートプロジェクトで知り合った仲間達。
■ 受講生からのメッセージ
「TARLはもともと単発的に興味のある講座を受講させていただいていましたが、『アートプロジェクト運営の基礎や技術を身につけてから働きはじめたい』と感じ、2015年度の1年間は通年で『思考と技術と対話の学校』を受講しました。様々な課題に本気で取り組み、あらゆる状況を想定して資料を作成し、プロジェクトの準備をしたことは今でも力になっているように感じます。また、先生や受講生同士で様々な現場の情報交換ができたのことも刺激的でした」(はじまりの美術館学芸員・大政愛さん)
「TARLを受講する前、私はアートと無縁の会社員でした。アーティストから触発されて始めた火を囲む活動では、『対話』を生み出しています。語り合えば語り合うほど解像度が上がり、相手との違いが見えてきます。相手を受け入れるにはその分、自分の考えを棄てていることになります。気づくと精神的な新陳代謝が行われているように感じています。TARL受講前後で働く環境に大きな変化はありませんが、多様な価値観を受け入れられるようになり、そのための場づくりを始めたのは確かです」(東京でちっちゃい火を囲む活動を始めた山上祐介さん)
■ 多様な仲間と出会い、次の一歩を踏み出す
以上、TARL受講生のその後の活躍の一部をお届けしました。
ただし、TARL「思考と技術と対話の学校」を受講すれば、全ての人が必ずアートプロジェクトの仕事/活動に関われるというわけではありません。TARLという場を上手に活用しつつ、一つひとつの出会いを大事にし、自ら行動を起こせた人には、多くの機会が待っています。
2018年度も参加者を募集しています。今年度は特に、能動的に学び、自らつくり出したい人のための「東京プロジェクトスタディ」が始まりました。
「我こそは」という方、仲間と出会い、そして新しい一歩を踏み出しませんか? お待ちしています。
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・【受講生募集中】思考と技術と対話の学校 レクチャー2「アートプロジェクト運営の手始め」