ライブラリー

アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2019/06/07

街歩きしながら伝統文化を味わえる「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり 2019」

メインストリートを一本入ると、石畳の路地が連なる神楽坂エリア。
東京に残る数少ない花街のひとつであるこの街には、昔から歌舞音曲の師匠たちが稽古場をかまえるなど、伝統芸能を大切に守ってきました。
戦後になると、フランスをはじめとした外国人が多く暮らすようになったり、新しい商業施設やレストランが増えるなど、伝統とモダンがミックスされたような独特の風情のある街に。

そんな神楽坂で、2019年5月11日(土)・12日(日)、「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり 2019」が開催されました。

このイベントは、街全体を舞台にした伝統芸能のフェスティバル。今年で7回目を迎えました。

11日(土)は「宵祭」として、レストランやライブハウスでの端唄や俗曲、箏曲のミニライブなど、神楽坂の夜を楽しめる催し物が開催。
そして12日(日)は「本祭」。お昼から夕暮れまで、街のあちこちで伝統芸能が披露されました。
今回は本祭の様子をレポートします!

神楽坂路上界隈〜新内流し

どこからか響いてくる三味線の音。石畳の小路を進むと、ゆっくりと歩を進めながら演奏する「新内流し」に出会いました。
偶然居合わせた人たちはみな、そのはかない音色に耳を傾けます。

神楽坂に暮らし、新内節の人間国宝・鶴賀若狭掾(つるがわかさのじょう)一門による流しは、街の情緒をいっそう高めていました。

神楽坂路上界隈〜城端曳山祭〈庵唄〉

ユネスコ無形文化遺産や、国の重要無形民俗文化財にも指定されている富山県南砺市の祭り、「城端曳山祭(じょうはなひきやままつり)」。
その祭りの雰囲気を、城端の若連中たちが神楽坂の街なかで再現してくれました。

三味線と笛の音、唄声を響かせながら、歩行者天国のメインストリートや裏路地を練り歩きます。
この祭りで300年もの間唄われ続けている庵唄は、江戸端唄が元になったもの。まさに江戸への里帰りとなりました。

神楽坂楽座〜講釈場

イベントの拠点となっている毘沙門天善國寺境内の特設ステージでは、伝統の語り芸が披露されました。
講談や琵琶語り、浄瑠璃(義太夫節)、浪曲と、ラインナップはさまざま。
わかりやすい内容で、初心者でも存分に楽しめました。

また当日は、光照寺や圓福寺、軽子坂上など神楽坂の名所旧跡7か所をめぐるスタンプラリーも開催。ここ毘沙門天善國寺は、スタンプを集めた人に記念品を贈る引換所にもなっていました。

神楽坂芸能めぐり 街角ライブ

メインストリートに設けられた2か所のステージで繰り広げられたのは、大迫力の路上ライブ。

津軽三味線や箏、尺八、雅楽、獅子舞など、伝統的な芸に現代的なアレンジを取り入れたりと、新鮮なものばかりです。
多くの人が足を止め、アツいパフォーマンスに酔いしれていました。

伝承あそび

広々とした白銀公園には、伝統的な遊びを体験できるコーナーがありました。
スタッフが丁寧に教えてくれるので、初めて触れる人も安心。
けん玉に皿回し、ベーゴマといったおもちゃに、子供だけでなく大人も夢中になって遊んでいました。

赤城神社 夕暮れライブ

日が傾き始めた17:30、街で思い思いに楽しんでいた来場者たちが赤城神社に集まってきました。
夕景スポットとしても知られるこの神社は、モダンで美しい建築も魅力。
イベントの締めくくりとして、夕日を背にした境内の神楽殿をステージにライブが行われます。

トップバッターは古来のマジック「手妻」。華やかなパフォーマンスに、観客から拍手が巻き起こります。

続いては、尺八とフルートを掛け合わせた幻の楽器「オークラウロ」の演奏です。
優しくも豊かな響きが夕暮れの切ない雰囲気とマッチして、じっと聞き入ってしまいます。

トリを飾ったのは、女流の長唄三味線と邦楽囃子。
艶やかな気品と気迫にあふれ、来場者の耳と目をとらえます。

こうしてあっという間にフィナーレを迎えた夕暮れライブ。
気がつくと、風が涼やかな夜風に変わっていました。

散策しながら楽しめる「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり 2019」。
古来から今も神楽坂に息づいている伝統を、街ごと味わいつくす1日になりました。
ふだんはこうした文化に触れる機会の少ない方にもぴったりのこのイベント、次回の開催も楽しみです。


神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2019

撮影:鈴木穣蔵
取材・文:平林理奈

最近の更新記事

月別アーカイブ

2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012