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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

現場に行ってみた!! 宮本篇

東京文化発信プロジェクトが行う様々なプログラムにライターの宮本が出向き、現場からお伝えします。アート、音楽、舞台、地域プロジェクト etc… 文化は会議室ではなく、現場で生まれている!

2014/10/23

トークイベント「東京スープとブランケット紀行 対談紀行~転がしたり、迷ったり、眺めたり、そして、東京と話したい。~2014秋篇」の現場に行ってみた!

10月11日(土)3331 Arts Chiyoda 1Fコミュニティスペースで開催された
「Art Bridge Instituteフォーラム『アートの連結力』」に行ってきました!

「Art Bridge Institute」は、多摩美術大学教授の港千尋さんを筆頭に、
様々なアートプロジェクトの現場に携わってきたメンバーで構成され、
多種多様な分野や取り組みの間にブリッジをかけながら、
人と人とのつながりをもてるようなアートプロジェクトの実施、研究を行う団体です。

フォーラムは、港千尋さんによる基調講演、開発好明さんのアーティストリサーチプログラム「たまに塾」中間報告会、
美術家の小山田徹さんをゲストに迎えたトーク「アートの連結力」の3部構成で行われました。

■ 基調講演「Art Bridge Instituteについて」 港千尋

基調講演は、港千尋さんの「Art Bridge Institute」のプロジェクト説明からスタート。
インターネットや携帯電話の発達により「超結びつき社会」が進行している一方で、
高齢化や過疎化は世界共通の問題となっており、人と人との基本的なつながりや地域コミュニティが失われつつある昨今。
「アートは人類最古の活動であり、人と人とを結び付け“共感”を生み、
その先に失われた場所や新しい場所を作り出していく」と港さんは考えます。
Art Bridge Instituteは、様々なアートプロジェクトをリサーチしつないでいく「リサーチ&ミーティング」と、
アーティストがリサーチに関わり、地域に入り、作っていく「実践」の2つを軸に取り組んでいくそうです。

■ 開発好明アーティストリサーチプログラム「たまに塾」中間報告会
Art Bridge Instituteの軸のひとつになっているのが、平成26年6月に始動した、
アーティストの開発好明さんと公募により集まった塾生が多摩センターエリアをリサーチし、
プロジェクトの種を探すプログラム「たまに塾」。年間4回のリサーチとミーティングを実施します。
3回のリサーチ活動を経て、中間報告を行いました。


 (左から) たまに塾・塾生 齋藤さん、鈴木さん、開発好明さん

「たまに塾」の特徴 ( 関川歩さん / Art Bridge Institute事務局 )
・地域から依頼があったからではなく、自主的に土地を選びリサーチしていること。
・「たまに塾」ディレクターでありアーティスト・開発好明さんの視点を中心にしたプログラムであること。

リサーチ場所に「多摩市」を選んだ理由 (開発さん)
・仕事場があり、足を運ぶ機会があった。
・多摩市と自分の生まれた時期がほぼ同じで、リンクしやすい気がした。
・社会問題である少子高齢化が起こっているベッドタウンであること。

これまでのリサーチについて

1回目:地域リサーチ(フィールドワーク)
2回目:(多摩ニュータウンができた)初期段階から団地に住む方々に話を聞く
3回目:団地に住む若い世代に話を聞く

[感想]
塾生・鈴木さん (第1回:地域リサーチ、第2回:初期からそこに住む方々に話を聞く)
・フィールドワークをしてみて、綺麗に整っているまちだと感じた。
・地域住民(団地の人々)の話を聞いて、多摩に興味が湧いた。
・人と話すことでたくさんの思いやアイディアが生まれた。
 これもリサーチして生まれたひとつの結果だと感じた。
・今後は、多摩が好きな人たち(ガイドなど)にスポットを当ててリサーチしていきたい。

塾生・齋藤さん (第3回目:団地に住む若い世代の話を聞いて)
・多摩に移り住んで来た若い世代は、飲食・買い物、都心へのアクセスなど利便性や、行政支援の在り方で選んでいた。
・行政支援の在り方が変わってしまったら、他の地に移動してしまう人が多いのではと感じた。
・今後は、多摩ならではの土地の住み方や、その周辺地域をリサーチしていきたい。

今後の取り組み
・4回目は、地域に根付いたリサーチをするために、地域に住んで(キャンプをして)、中に入るリサーチをする。
 当初は4回で終わりの予定だったが、回数を増やして取り組みを継続する。
・リサーチだけではなく、アウトプットできる実践の場も設けていきたい。
 今後は「場づくり」と「リサーチ」を共存していくようなやり方を考えていきたい。

活動を継続するということで、塾生募集も行うとのこと。
気になる方は随時ウェブサイトで情報をチェック!

■ 「アートの連結力」 ホスト:港千尋、開発好明 ゲスト:小山田徹
この日の最後は、美術家の小山田徹さんをゲストにお迎えし、「アートの連結力」についてトークしました。

小山田さんのトークテーマは「共有空間の獲得」。
「共有空間とは、作らずしてそこにあるもの。そこに重要なのは“愛”」。
「労働すると獲得感(=愛)が生まれやすい」という言葉の通り、小山田さんが紹介する事例は全て、
何がしかの労働があり、愛が生まれやすい仕組みになっていました。

興味深いキーワードがずらり。

一軒家に移り住み共同生活をする「アートスケープ」、
2週に一度オープンする自主運営のカフェ「ウィークエンドカフェ」、
いつでもどこでも活用できる「屋台」など、どれもが人々が気軽に集まることの出来るオープンな場所でした。
それらの活動を通じて集まった様々な分野の人々と造形施工集団を作り、共有空間を開発しています。

これまでたくさんの「共有空間」を作り上げてきた小山田さんが、
最も可能性を感じているのがなんと「焚き火」。

「焚き火は、最古で最高で最小の共有空間。焚き火があるだけで何もせずとも、会話が生まれ、そこに共有空間が生まれる」。 生活の中で“直火”に触れる機会が減っている昨今。
「あらゆる力を結集させ、小さな火をあげ、焚き火体験を残していきたい」と小山田さんは言います。

小山田さんのお話を受け、「『たまに塾』で理想的なリサーチをするのに屋台が有効なのでは」という話が出るなど、
この後アイディアが次々連結していきました。何かの本質をつなぐものとして、アートはとても有効。
アートの可能性を実感出来るフォーラムでした。

Art Bridge Instituteの情報はこちらから!
http://www.bh-project.jp/search/tabid/62/pdid/537/Default.aspx

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