新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、海外への移動にとどまらず、国内の移動も大きく制限せざるを得ない状況を生み出しました。現在は緩和された状況ではあるものの、ステイホームをせざるをえなかった経験は、これまで「移動」する行為を当たり前に享受していたことを実感する機会でもありました。
移動と密接に関わるアートの現場のひとつに、アーティストが、いつもの活動拠点からはなれる、またさまざまな土地を訪れて制作するアーティスト・イン・レジデンス(以下、AIR)があります。移動制限がどうなるのか先行きが見えづらい状況において、さっぽろ天神山アートスタジオ(北海道札幌市)では、アーティストが札幌に訪れることなく、遠隔のままAIRに取り組む試みが現在進行形で行われています。地域での一時的な滞在を伴わないAIRという形式は、どのような協働のかたちやつくりかたの可能性につながっていくのでしょうか。そもそも「移動」することにはどういった効用があり、これからの移動の経験はどう変わっていくのでしょうか。
第2回ディスカッションは、さっぽろ天神山アートスタジオ AIR事業ディレクターを務める小田井真美さん、映像エスノグラファーとして「人びとの〈移動〉の経験」を研究し、映像作品として描き出す実践を重ねてきた大橋香奈さんをゲストにお招きします。ゲストのお二人が取り組んでいる実践や研究のお話から、これからのアートプロジェクトのヒントを探ります。
小田井真美(AIR環境・事業設計、さっぽろ天神山アートスタジオAIRディレクター)
1966年 広島市生まれ。アートプロジェクト企画運営、アーティスト・イン・レジデンス現場運営者。
2003-2008 npo S-AIR(北海道)、2008-2009 Trans Artists(オランダ)、2010-2011 アーカスプロジェクト(茨城)、2012 VISUAL ARTS FOCUS(フランス)など国内外のAIR事業とその背景に関するリサーチ及び、AIR事業設計・事業運営や創造的活動のための環境整備に多数関わる。アートとリサーチセンター、さっぽろ天神山アートスタジオAIRディレクター(2014-現在)
大橋香奈(映像エスノグラファー/東京経済大学専任講師)
大学卒業後、サントリーホールディングス株式会社に5年半勤務。退職後、フィンランドでの活動を経て、英国のMet Film Schoolドキュメンタリーフィルム制作プログラム修了。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了、博士(政策・メディア)。
人びとの「移動」の経験に関する、映像エスノグラフィー研究を続けている。2019年に制作した共同監督作品『Transition』 (大橋香奈・水野大二郎, 2019)がアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭(IDFA)2019のコンペティション部門(ショートドキュメンタリー)および、ドイツの日本映画祭Nippon Connection 2020のNIPPON DOCS部門に入選。2020年度より、東京経済大学コミュニケーション学部専任講師。
モデレーター:上地里佳(アーツカウンシル東京プログラムオフィサー)
アートプロジェクトにこれから関わりたいと思っている方、新たなプロジェクトのためのヒントを得たいと思っている方
無料(事前申込不要)※通信料はご負担ください。
Tokyo Art Research LabのYouTubeチャンネルにて配信いたします。
※内容は変更になる場合があります。
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
事業推進室事業調整課事業調整係
TEL:03-6256-8435(平日10:00~18:00)
E-mail:tarl@artscouncil-tokyo.jp
オンライン配信
※会場でご観覧いただくことはできません。