【プロジェクト概要】
これまで主にヨーロッパでの国際共同制作を成功させてきたチェルフィッチュが、創作資金を集めるのが主なヨーロッパ型の共同制作ではない、アジアでの共同制作の可能性を探るべく、タイを拠点にリサーチと作品創作を展開。プラットフォームが形成されていない東南アジア地域において、資金面だけではない協力体制を築き、次世代まで有効活用できるネットワークを形成し、モデルケースとなることを目指す。
【1年目プロジェクト概要】
内容:タイやインドネシアなどをリサーチし、主要人物に精力的に面会に行く初年となった。その中で特に、タイ文学研究家福冨渉氏、国際交流基金バンコク事務所の協力を仰ぎ、バンコクで活動する実演家、ビジュアルアーティスト、大学教員、出版社、翻訳家、ギャラリストなどに幅広くヒアリングし、全体をマッピングすることに努めた。これらの人々にチェルフィッチュを知ってもらうため、代表作のひとつである『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』をタイ・バンコクで上演した。
また、これらの過程を経て、タイの小説家のウティット・ヘーマムーンの執筆中の新作を舞台化することを決定した。
日時:通年。ただし『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』上演は2017年3月10日~3月12日。
上演会場:チュラローンコーン大学文学部演劇学科ソッサイパントゥムコーモン劇場(バンコク)
【2年目プロジェクト概要】
内容:1年目にウティット氏の原作小説を舞台化することが決定した国際共同制作作品に向けて、バンコクでの出演者・制作助手・演出助手のオーディションや2週間弱のリハーサル、タイのアーティストによる日本リサーチ、国際共同製作パートナーのリサーチを行い、脚本執筆やプランニングなど具体的な創作が開始した。一方で、アジアでのネットワークづくりの一端が実り、中国・北京で『三月の5日間』リクリエーションを上演した。
日時:通年。ただし『三月の5日間』上演は2018年1月18日~1月20日。
会場:中間劇場(北京)
【3年目プロジェクト概要】
内容:タイでの国際共同制作作品のタイトルが『プラータナー:憑依のポートレート』に決定。クリエーションメンバーを決定し、バンコクにて約3ヶ月間にも及ぶ滞在制作を行い、バンコク・日本国内でトリリンガル(日本語・英語・タイ語)での広報を展開、8月に世界初演を迎えた。また、バンコクでの反響を検証すべく、レビューの翻訳を行った。そして、関連企画として『プラータナー』パリ公演を実施。なお、同作は、タイ唯一の舞台芸術賞である演
劇評論家協会タイセンター(IATC)IATC Thailand Dance and Theatre Awards 2018の Best Play賞を受賞した。
日時:通年。ただし『プラータナー:憑依のポートレート』バンコク世界初演は2018年8月22日〜8月26日。
会場:チュラロンコーン大学文学部演劇学科ソッサイパントゥムコーモン劇場(バンコク)
【チェルフィッチュ】
岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして1997年に設立。岸田國士戯曲賞受賞作『三月の5日間』などを経て、日常的所作を誇張しているような/していないようなだらだらとしたノイジーな身体性を持つようになる。07年ベルギーのクンステン・フェスティバル・デザールでの『三月の5日間』以降、海外招聘多数。11年『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』が、モントリオール(カナダ)の演劇批評家協会の批評家賞を受賞。つねに言葉と身体の関係性を軸に方法論を更新し続け、12年『現在地』以降はフィクションへの探求のもと作品を創作。13年クンステン・フェスティバル・デザール委嘱により『地面と床』、14年5月Theater der Welt 2014委嘱作品として『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』を発表。
チェルフィッチュ
e-mail: info@precog-jp.net