アーツカウンシル東京の事業

ナイーム・モハイエメン + エリック・ボードレール 二人展

  • 団体名 : アサクサ実行委員会
  • 区分 : 都内での創造活動
  • 助成タイプ : 単年
  • 分野 : 美術・映像

事業概要

現代政治において例外的に引き起こる無政府状態、政治的ユートピアとその反動の歴史、また過去の出来事と記憶から呼び戻されるイメージの召喚、ドキュメンタリー映像と感情=記憶の接続など、共通の関心を多くもつアーティスト——エリック・ボードレールとナイーム・モハイエメン。本プロジェクトでは二人のアーティストを招聘し、キュレーションスペース「アサクサ」(台東区浅草)にて初めての二人展と、初日(2/9)にはゲストスピーカーに映画監督の足立正生氏ほか3名を招き(うち1名はスカイプ参加)、3.5時間におよぶアーティストトークを開催した。この中で、戦後日本の左派運動と国際社会との関係、さらには西洋中心の視点で描かれてきた歴史に翻弄され語られてこなかった物語が読み返され、時代の当事者とその次世代となる両アーティストが意見を交換しオーディエンスが加わった。

プロフィール

【エリック・ボードレール(Eric Baudelaire)】
1973年米ソルトシティ生まれ。アメリカのブラウン大学で政治学を学ぶ中、2000年のコーカサス地域でのフィールドワークを機に、写真を使った表現を志向するようになり、ビジュアルアートの道を歩み始める。2008年の京都での滞在が大きな転換点となり、映像表現へとシフトしていく。現在パリを拠点に活動するボードレールは、イメージと出来事、過去の出来事とそのドキュメンテーション(記録)、そしてドキュメンタリーとフィクションの関係に関心を持ち、かつての記録を手掛かりに、綿密なリサーチに基づき、記録されていない事実を正政治的な視点から浮かび上がらせる。


【ナイーム・モハイエメン(Naeem Mohaiemen)】
1969年ロンドン生まれ。イギリスとバングラデシュの二重国籍を持つモハイエメンは、幼少期をダッカで過ごし、1989年にアメリカ合衆国へ家族と共に移住、経済学の学位を収めた後、ニューヨークを拠点とするエディトリアル・コレクティブ「SAMAR」に加わって以降、アーティストとしての活動を開始。現在、コロンビア大学の人類学博士課程に在籍しながら、ニューヨークとダッカを中心に活動。モハイエメンは、脱植民地化の現在の遺産、左派思想の政治的ユートピアの記憶、あるいはその修正、抹消、そして第二次世界大戦以降の急進左派思想に関する自身の研究を、論文という形に縛られず、映像やインスタレーションの形で発表してきた。作品からは、自分自身の移住の経験を背景に、グローバルな規模で進行している移民、難民問題や、ポストコロニアニズムにおける旧植民地のアイデンティティの問いを、国境、人種、宗教という既存カテゴリーを越えた次元から投げかけようとする姿勢が伺える。

お問い合わせ

〒111-0035 台東区西浅草1-6-16
アサクサ実行委員会
委員長
大坂紘一郎
info@asakusa-o.com

実施場所

アサクサ(東京都台東区)


※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。