アーツカウンシル東京の事業

Echoes of Calling

  • 団体名 : オフィスアルブ
  • 区分 : 芸術創造活動を主とするもの
  • 助成タイプ : 長期
  • 分野 : 複合・その他

プロジェクト概要

ヨーロッパ・アジアそれぞれの東西の極に位置するアイルランドと日本、さらにそれを繋ぐ中央アジアも含めたアーティストの国際共同制作から、その土地に伝承されている文化や、それらを継承する人々と生活文化に触れ、フィールドリサーチを行い、協働から生まれる丁寧な対話から作品のテーマを見出し、参加する人々の思考やアートシーンへの切り口が変容していくことを目指す。それらのプロセスを通して熟成を迎えたコンテンポラリー・ダンスに新たな視点を見出しながら、協働クリエーションの中で、それぞれの視野、経験、テクニックの向上など今後の活動の発展に繋がる事を期待する。

本プロジェクトでは、「ローカリティー」「アニミズム」「シャーマニズム」「都市」をキーワードに、グローバル社会で不透明になりがちな、その土地の文化を歴史的に横断し繋げていくことをねらいとする。アイルランドのケルトの伝統文化や中央アジア、日本に古代から伝わる、形に残らない身体表現や音や語りが、いかに我々の記憶にアプローチし得るのか。また表現形式や文化、国籍、言語などの違いを超えた日本の伝統や現在との関わりがいかに可能か。自然環境の変動をめぐり、人間と自然の共生に深い関わりを持ってきたシャーマニズムや共同体の精霊信仰などの”祈り”を現代的な重要なテーマとして捉えた。秩序ある共同体の解体、外部の侵入による人々の変化、身体の内外の境界線感覚の喪失、言語を超えた自然のリズムや声のエコーの対話が誘発するダンス、音楽、映像を構成し、これらのキーワードを浮き彫りにする伝統文化の未来の脈を描いた作品創作を試みた。

【1年目の事業の概要】
東京公演・ワークショップ・レクチャー
内容:プロジェクト1年目の東京公演は、14日間にわたる自主隔離期間も承諾して来日した2人のアイルランド音楽家との協働クリエイションを通じて相互文化理解を行い、作品に反映することができた。公演直前に発出された緊急事態宣言発出の影響で会場にお客様を迎えて公演することが出来なかったことは断腸の思いであった。しかし、作品を映像化し公開することやオンラインワークショップ・レクチャーによって、エリアや世代を超えて視聴して頂く事が出来たことは望外の喜びとなった。

公演:2021年1月23日(土)~29日(金)オンライン配信
ワークショップ・レクチャー:2021年1月13日(水) オンラインZoom
会場:公演収録会場 Spiral Hall(東京都港区)

【2年目の事業の概要】
東京公演・ワークショップ・レクチャー
内容:プロジェクト2年目として中央アジアのリサーチ、アーティストとの協働も加え作品を製作。渡航制限の影響で海外アーティストが来日しての公演は行う事が出来なかったが、オンラインクリエイションでアイルランド・ウズベギスタン両国のアーティストが参加した作品を上演。また、ワークショップでは演出・振付家による作品クリエイションの背景を参加者と共有、またオンラインレクチャーでは、中央アジアの遊牧文化に焦点を当てて紹介。いかにしてクロスカルチャーによって作品創作がなされたかを共有した。

公演:2022年2月18日(金)〜20日(日)会場:Spiral Hall(東京都港区)
ワークショップ:2021年11月21日(日)、28日(日)
オンラインレクチャー:
2021年11月11日(木)講師:西村幹也 (モンゴルについて)
2022年1月14日(金)講師:和崎聖日 (ウズベギスタンについて)

【3年目の事業の概要】
(1)Echoes of Calling ウズベキスタン・アイルランドツアー
内容:アイルランド・中央アジア(ウズベギスタン)それぞれ現地で、初年度2年度目に協働した海外アーティスト・クリエイターらと文化の相互理解を得て、本年2月に東京で上演した「Echoes of Calling -Gushland-」の進化させた作品を上演するとともにワークショップも含めて現地での交流を図った。

・ウズベキスタン
会場:ウズベキスタン国立芸術文化研究所劇場(ウズベキスタン・タシケント)
ワークショップ:2022年11月21日(月)、22日(火)
公演:2022年11月22日(火) 講師:北村明子

・アイルランド
会場:ミックラリー劇場(アイルランド・ゴールウェイ)
ワークショップ:2022年11月25日(金)
講師:北村明子、ミンテ・ウォーデ
公演:2022年11月26日(土)

(2)Echoes of Calling – rainbow after –
内容:アイルランド・中央アジア(ウズベギスタン)それぞれ現地で得たものを取り込み、3年間プロジェクトの最終型として国内の観客に提示する上演の機会。各地の対外志向で整理された文化様式とは異なる、生(なま)の「地域と生活に根付いた文化」と接触し、異文化間の緊張感のある交わりをダンスのクリエーションの場に持ち込み、そこから作品で用いる舞踊形式やテーマを立ち上げることを意図して取り組んだ。
日時:2023年3月10日~2023年3月12日
会場:東京芸術劇場 シアターイースト(東京都豊島区)

プロフィール

【北村明子】
振付家・ダンサー 信州大学教授
バレエ、ストリートダンス、インドネシア武術を学び、1994年ダンス・カンパニー、レニ・バッソを創設。2001年代表作『finks』を発表。世界60都市以上で上演される。2010年からソロ活動として、リサーチとクリエイションを行う国際共同制作プロジェクトとしてインドネシアとの、東南~南アジアとのを行ってきた。「身体の思考」をもとに、創造活動をはじめ、演劇、オペラ、映画、CMへの振付・出演する一方、大学では、身体論、演出論、舞踊論の視点から「メディアとしての身体」をテーマに研究を行う。

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オフィスアルブ
info@akikokitamura.com