アーツカウンシル東京の事業

バーチャルの具体性

  • 団体名 : アレクサンドル・タルバ
  • 区分 : 都内での創造活動
  • 助成タイプ : 単年個人
  • 分野 : 美術・映像

事業概要

リアリティーには「アクチュアル」と「バーチャル」2つの次元があり、バーチャルは現実の一部であるのであって、現実の抽象的な次元へのアクセスは、我々の具体的な存在の強化に基づいている。言い換えれば、世界全体がバーチャルに向かっているように見える一方で、物質もまた増殖し続けるということである。
デジタル時代の技術的な過剰生産によって引き起こされた生態学的・社会的危機と、新型コロナウイルス感染症拡大によって加速するデジタルの重要性を並行させ、デジタルゴミが仮想空間を支えるために現実の空間に侵入する一方で、労働者は劣悪な環境でポストモダンの装置全体を生産しているというバーチャルの倫理的な側面を浮き彫りにする。
ハードウェアはバーチャルを可視化するという媒体の役割を果たしているが、その機能を超えて、それは物質的で具体的な装置であり、現在に固定されることで、非物質的で抽象的なものを探求することを可能にしている。ハードウェア上であれ、クラウド上であれ、データは媒体としての役割を果たす物質的・具体的な基盤なしには存在し得ない。
また、記憶や夢はデジタルに先行するバーチャル領域でもある。有機メモリはデジタルメモリと同じように物質的・具体的な基盤が必ず存在する。
「バーチャルの具体性」を構成する作品は、これらの問いに答えるために、バーチャルの象徴としてのモチーフを視覚言語としている。シン・ダンウェン、石川雷太、太湯雅晴、ジャン=バティスト・ラングレ、松澤宥、ゾエ・シェレンバウム、花岡美緒、7人のアーティストがそれぞれ違った視点で、問いの答えを模索することで、バーチャルの複雑性と可能性を提示した。

プロフィール

【アレクサンドル・タルバ】
パリ第 8 大学の美学の博士課程、国費研究生として東京大学総合文化研究科超域文化専攻表象文化論研究室で研究。研究テーマは日本の戦後美術と映画における原爆の表象。核時代禍の虚無、記憶、恐怖そしてバーチャルに焦点を当てる。彼は田邊元の死の哲学と「原子力時代」という概念と戦後日本の近代性をめぐる議論や、60 年代の政治運動が交錯する傾向を論じている。ジル・ドゥルーズ、ギュンター・アンダース、無政府主義哲学に影響を受け、戦後の平和活動と現代の反核運動、直接行動とオルタナティブ・アートシーンとの関係を歴史的視点から研究している。ポスト近代性という概念、また、ポップカルチャーにおけるディストピア的な物語にも関心を抱いている。International Coalition to Ban Uranium Weapons (ICBUW)でも活動。

お問い合わせ

アレクサンドル・タルバ
a.taa@tutanota.com

実施場所

The 5th floor, 花園アレイ(東京都台東区)


※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。