2023年ウィーン芸術週間委嘱作品として、チェルフィッチュ/岡田利規と藤倉大が初めてコラボレートし“新たな音楽劇“の創出に挑戦、ウィーンにて世界初演を迎えた。これまでの音楽劇やオペラのように演劇と音楽のどちらかが主役となるようなものではない、一線を画す新たな「音楽劇」を追究した。チェルフィッチュの俳優陣6名と、世界トップレベルの現代音楽アンサンブルのクラングフォルム・ウィーンの演奏者7名によって、作品が紡がれた。
住む家をいきなり追い出されそうになる家族の物語から始まるが、その家自体が人智の及ばない強大な力によって跡形もなくなることによって、その問題は解決される。そして、人間の世界の外側に広がる圧倒的な存在が上演を支配し、まったく新しい世界が舞台上に立ち現れる。
チェルフィッチュの旧作『消しゴム山』に続き人間中心主義から逸脱した世界を描く本作。前回は美術家・彫刻家の金氏徹平とともに人とモノの新たな関係性を探求したが、今回は藤倉とともに演劇と音楽の新しい関係を生み出すことに取り組んだ。
【一般社団法人チェルフィッチュ】
岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして1997年に設立。独特な言葉と身体の関係性を用いた手法が評価され、現代を代表する演劇カンパニーとして国内外で高い注目を集める。2007年『三月の5日間』(第49回岸田國士戯曲賞受賞作品)にて国外進出を果たして以降、国内外合わせて90都市以上での上演歴を持つ。近年は、海外のフェスティバルによる委託作品製作の機会も増えており、活動の幅をさらに広げている。
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