日本の伝統演劇である「人形浄瑠璃」。その中から私は一人の女性の遣い手によって演じられる 乙女文楽に焦点を当て、アーカイブ資料から、人形劇の復元を行い、社会の事象、歴史や記憶、関係性を再解釈した、新たな音楽芸術作品の制作を行っている。
この演奏会では、日本ではまだまだ演奏機会の少ない電子音響と器楽のための作品、ピアノとコンピュータのための「東京第七地区」(2017)、チェロとコンピュータのための「マグノリアの花」(2023)、ユーフォニアムとコンピュータのための「美少女革命:Drama Queens」(2022)と、伝統音楽をもとに作曲された、無伴奏ヴァイオリンのための「パルティータ」(2022)、尺八とリコーダーのための「二人静」(2021)、そして、ひとみ座乙女文楽とのコラボレーション、映像、電子音響、乙女文楽のための新制作を行い、人形浄瑠璃とその先の可能性を提示した。
【向井 響】
作曲家。桐朋学園大学卒業。ハーグ王立音楽院ソノロジー研究所修士課程を首席で修了。第84回日本音楽コンクール作曲部門、マータン・ギボル国際作曲賞、ORDA-2019作曲部門、第33回ACL青年作曲賞、各1位。ローソン・メイ作曲賞、マリン・ゴレミノフ国際作曲賞を受賞。これまでに、NHK、カルースト・グルベンキアン財団、モスクワ国立電子音響センター、ストラスブール現代音楽祭より委嘱を受ける。RMF奨学生、令和3年度文化庁新進芸術家海外研修員。現在ポルト大学大学院博士課程に在籍。
東京コンサーツラボ(東京都新宿区)
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