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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。

2016/12/16

秋の夜長に「六本木アートナイト2016」開催! 約200のアート作品が集まり街中がプレイグラウンド(遊び場)に

眠らない街・六本木にアートが華を添える3日間である、東京を代表するアートの祭典「六本木アートナイト」が、2016年10月21日(金)、22日(土)、23日(日)に開催されました。

今年のテーマは「六本木、アートのプレイグラウンド “回る、走る、やってみる。”」です。

200を超える作品が街中に出現!「六本木アートナイト2016」

六本木アートナイトは東京都とアーツカウンシル東京、それから港区と六本木アートナイト実行委員会が主催するイベントです。2009年に一夜限りのアートの祭典としてスタートし、7回目を迎える今回は、初の3日間開催となりました。

会期中は六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、国立新美術館など六本木エリアの様々な場所に、200を超える作品が散りばめられていました。

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初日のオープニングセレモニーには多くの参加アーティストが集合した

メインプログラム・アーティストは彫刻家の名和晃平氏

今年の、六本木アートナイトのメインプログラム・アーティストは、彫刻家の名和晃平氏。希少な植物を求めて世界中を飛び回っている、プラントハンターの西畠清順氏とバルーンユニット「デイジーバルーン」(河田孝志氏、細貝里枝氏)とコラボレーションし、彫刻と風船、それから東北の漁師さんから借りたというブイを使い、インスタレーションを作り上げました。

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名和晃平氏

アーティストは敏感で繊細で、どんな状況でも遊び心を忘れない人たち。どんな時代でも必要な存在。それを思いっきり3日間で感じて欲しい。この六本木ヒルズアリーナにあるインスタレーションは、薄いブルーのライトで照らされていますが、これは夜明けの色を象徴しています。作品全体としては、“六本木の文化の夜明け”をイメージして作りました」と名和氏。

このインスタレーションは、東京ミッドタウンと国立新美術館にも、作品が展開されていました。

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東京ミッドタウン前

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国立新美術館前

フランスの「カンパニー・デ・キダム」によるパフォーマンスからスタート!

「ACTブログ」が取材に入ったのは、初日の10月21日(金)。オープニングパフォーマンスとして、フランスの「カンパニー・デ・キダム」による新作「FierS à Cheval 〜 誇り高き馬〜」が六本木ヒルズアリーナで披露されました。

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羽根を持ったリングマスターに導かれ、白い衣装を着たパフォーマーたちが登場。白く光り輝く馬たちのパフォーマンスが繰り広げられます。

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命を吹きかけられたように風に合わせて頭を揺らす馬たち。アリーナを抜け、六本木ヒルズ内の庭園をぐるりと一周しました。

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芝生の上で迎えたエンディングでは、伏せた馬から少しずつ空気が抜けていき、ゆっくりと眠りに落ちていくようでした。

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リオでのパフォーマンスを進化させ「東京キャラバン in 六本木」が登場

また、この日は「東京キャラバン」のステージも同時開催されました。

「東京キャラバン」は、東京2020オリンピック・パラリンピックの文化プログラムを先導する、東京都のリーディングプロジェクトとして始まった文化ムーブメントです。

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撮影:篠山紀信

発案者である劇作家・演出家・役者の野田秀樹氏を中心に作り上げられた、「東京キャラバン」は、「東京キャラバン in RIO」と題して2016年の夏にリオデジャネイロで、また、帰国後に宮城と福島で開催したワークショップで生まれたパフォーマンスと、昨年の「東京キャラバン〜プロローグ〜」とを融合し、さらに進化。和太鼓やアンサンブルによるダンス、モデルによるファッションショーや伝統芸能などが盛り込まれたパフォーマンスが披露されました。

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撮影:篠山紀信

終演後、会場は大盛り上がりで拍手が鳴り止みませんでした。

いくつ回れるか? 「六本木アートナイト」スタート!

約200もの作品があり、会期が3日間となると、すべての作品を見て回るのは大変です。マップを広げ「さて、どこへ行こう?」と考えている方の姿もちらほら。

作品は徒歩圏内の六本木エリアに集中しているため、距離感覚を把握していれば、一日だけでも多くの作品を見ることができます。

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今回、オープニングセレモニー以外で、取材班が見てきた作品はこちら!

1. チェ・ジョンファ「フラワー・シャンデリア」

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六本木ヒルズ内のエスカレーターの吹き抜けの天井に、大きな花が咲いていました。

2. チェ・ジョンファ「Love Me」

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六本木ヒルズ内のウェストウォークに突如現れたピカピカのピンクのブタのインスタレーション。「羽が生えているのに飛べない」のだそう。仕事帰りのスーツ姿の男性たちも、足を止め写真を撮っていました。

3. ツァイ・クエンリン(蔡坤霖)「The Sound of Roppongi」

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樹脂パイプや木材を使って作ったパイプから、音が聞こえてくるインスタレーション。

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筆者も聞いてみましたが、秋の夜長にぴったりな鈴虫の音やフクロウの鳴き声が、遠くの方で聞こえました。

4. 後藤映則「toki-series_#00」

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微妙に曲線を描いているテグスのような細い糸が、光にあたりながら回転している作品です。見る角度を変えると、パラパラ漫画のように人が踊っている姿が浮かび上がってきます。

5. ピーター・マクドナルド「Sleep Walking」

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六本木アートナイト会期中に、イベントの様子をスケッチし、作品を壁に貼っていくもの。3日間で作品が変化していくインスタレーションです。

6. 久保ガエタン「Smoothie」

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部屋に見立てられた箱が大回転し、箱の中の物が飛び交って攪拌する様子を、映像で見ることができる作品です。洗濯機の中を覗いている気分になります。

7. イェッペ・ハイン「Countinuity Inbetween」

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六本木ヒルズから少し離れた雑居ビルの、コンクリート打ちっぱなしの部屋に設置された作品。穴から勢いよく吹き出された水が、ゆるやかな放物線を描きながら反対側の壁へと吸い込まれ、何もない空間をつなぎます。

8. ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイス「事の次第」

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駐車場のプロジェクターから、向かいに建つマンションの壁に映像を投影して見せる作品がこちら。30分ほどの映像で、重りが落ちたりガラスがドミノ倒しになったり、突然発火してその爆発力でタイヤが転がったり……次々と連鎖的に物が変化し、移動していく様子を追いかけています。

9. 蓮輪康人「Roppongi Sign Girl – 六本木看板娘プロジェクト – 」

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六本木エリアに集まる各店の看板娘の似顔絵が、店頭に展示されています。あまりにも自然に展示されていため、何度か通り過ぎてやっと見つけることができました。

10. 小川勝章「とんでみる」

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作庭家の小川勝章氏(植治次期十二代)による、街中のインスタレーション。人々が行き交う六本木交差点を「六本木アートナイト」への入口と見立てた、作品です。

11. 若木くるみ「車輪の人」

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作家本人が、回転する車の中で走り続けるというパフォーマンス。果たして彼女は3日間走りきったのか……気になります。

12. 尾花賢一「君を探して」

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ロボット掃除機に乗った彫刻の人形たちが、観客の合間を縫って生きているかのように移動するパフォーマンス作品がこちら。

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この緑の覆面の人形は、花束を渡す相手を探して移動し続けます。

13. 平本瑞季「寿司パフォーマンス」

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「六本木アートナイト」開催エリアの様々な場所で、突如行われたパフォーマンスがこちら。カラフルな全身タイツを着たアーティストたちが、突然鳴る笛の音とともに猛ダッシュで集まってきます。

組体操のように機敏に動き、縮こまったかと思うと……

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寿司が完成! 集まったお客さんの笑いを誘いました。偶然居合わせた外国人観光客たちも、予期せぬ寿司の出現に大喜びしていました。

14. Rhizomatiks Architecture「CURTAIN WALL THEATRE」アートナイト特別ライトアップ

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「六本木アートナイト」特別バージョンのライトアップが施されたこちらの作品は、カーテンが開閉するゆらめきと、光の陰影を楽しめます。

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「六本木アートナイト2016」は広大なアートの遊び場

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ふだん何気なく通り過ぎている場所に突如アート作品が出現することで、風景や雰囲気が一変。六本木の街が、一挙に“プレイグラウンド(遊び場)”に早変わりします。「六本木アートナイト2016」は、アート作品が作り上げた遊び場で、思わず夜更かししてしまう3日間となりました。


「六本木アートナイト」イベント詳細

  • 日時:2016年10月21日(金)〜23日(日)
  • 会場:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
  • 主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、港区、六本木アートナイト実行委員会【国立新美術館、サントリー美術館、東京ミッドタウン、21_21 DESIGN SIGHT、森美術館、森ビル、六本木商店街振興組合(五十音順)】
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/14650/

写真(クレジットのないもの):鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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