ノン・ネイティブ日本語話者との協働プロジェクト
※採択時点での情報です。
- 採択団体・個人名
- 一般社団法人チェルフィッチュ
- 助成区分
- 東京芸術文化創造発信助成
- 助成タイプ
- 長期
令和2(2020)年度 東京芸術文化創造発信助成 [長期助成プログラム]



事業概要
【1年目の事業の概要】 (1)リサーチ 内容:国内の教育機関や在日外国人コミュニティとの繋がりが深い団体・人物をリサーチし、創作の参加者になりうる方々に出会える場所や機会のリストアップを行なった。在日外国人と文化活動において協働経験のある個人へのヒアリングを行い、言語の使用状況や協働における問題についてや日本語の多様性についてアカデミックな側面から調査を実施。また、国内・国外の演劇シーンにおいて、非ネイティブ話者がどのように作品に関わっているのかについて調査を行った。 日時:2020年11月1日(日)–2021年7月31日(土) 会場:オンライン、東京都内 (2)第一弾ワークショップ 内容:日本語が第一言語ではない方または日本語が第一言語だと感じていない方で、演劇・ダンス・美術・文学などの「表現」に関することに興味のある高校生以上の方を対象に、ワークショップを開催した。 日時:2021年9月10日(金)–9月12日(日) 2021年9月17日(金)–9月19日(日) 2021年10月2日(土)–10月10日(日) 会場:オンライン、山吹ファクトリー(東京都新宿区) ファシリテーター:岡田利規 【2年目の事業の概要】 (1)第二弾ワークショップ 内容:新たに日本語非ネイティブ話者に出会うべく、岡田の方法論である「想像」を使ったワークショップを行った。参加者は、過去に住んだことのある家や今住んでいる家など、自分の家を想像しながら部屋の間取りについて説明し、「想像」を使って観客に向かって話すことや動き(振付)を生み出すことについて学んだ。 日時:2022年4月11日(月) –4月14日(木) 2022年5月19日(木) –5月21日(土) 会場:新宿文化センター リハーサル室(東京都新宿区) ファシリテーター:岡田利規、安藤真理、米川幸リオン (2)トークイベント 内容:本プロジェクトで掲げている問題意識を主に演劇や表現領域の関係者と共有する場として、有観客でのトークイベントとオンラインでのライブ配信を行った。内野儀氏(演劇研究者/学習院女子大学教授)、徳永京子氏(演劇ジャーナリスト)をゲストに招き、日本語非ネイティブ話者の表現活動に留まらず言語自体が持つ課題やネイティブとノンネイティブの違いについての議論を活発に交わす場となった。 日時:2022年7月17日(日) 会場:新宿文化センター小ホール(東京都新宿区)、オンライン (3)第三弾ワークショップ 内容:さらなる出会いを広げるべく、これまでのワークショップと同様に「想像」を使ったワークショップを行った。俳優の米川幸リオンと安藤真理をファシリテーターに招き、パフォーマンスを成立させるために、より想像を相手に共有することを意識したワークを行っ た。 日時:2022年7月31日(日) –8月2日(火) 会場:みらい館大明 201(東京都豊島区) ファシリテーター:岡田利規、安藤真理、米川幸リオン (4)第四弾ワークショップ 内容:第三弾に引き続き、ファシリテーターに米川幸リオンと安藤真理を招き、本プロジェクトの趣旨や岡田の演劇論をより多くの人に広めるべくワークショップを行った。さらに新しい出会いを増やし、3年目の出演者オーディションに向けて本プロジェクトの理念や岡田の方法論への新たな理解者を得た。 日時:2022年10月21日(金) –10月23日(日) 会場:山吹ファクトリー(東京都新宿区) ファシリテーター:安藤真理、米川幸リオン 【3年目の事業の概要】 (1)東京公演 内容:2023年8月4日〜7日、吉祥寺シアターにて全6回の公演を実施。 準備期間には、これまでのワークショップ参加者を対象としたオーディション、演出助手の公募などを経て座組を決め、6月中旬より約1ヶ月半の創作を行った。公演前には外部の演出家2名による、ノンネイティブ日本語話者を対象としたワークショップを実施。稽古場見学も広く受け入れるなど、外に開いていくことを意識した創作プロセスとなった。 日時:2023年8月4日(金)–7日(月) 会場:吉祥寺シアター(東京都武蔵野市) (2)プロジェクトレポート発信 内容:本プロジェクトの意義をより広く伝えていくため、1〜2年目のワークショップ参加者によるプロジェクト紹介や、外部演出家によるワークショップのレポートを「チェルフィッチュnote」にて発信した。インターネット上で誰もがアクセスできる状態で客観的な記録を残すことで、本事業終了後にも日本語非ネイティブ話者の演劇活動の土壌を醸成できる継続的な協働パートナーの獲得や、業界全体の問題意識としての認知・共有に活かす。 日時:2023年8月公開
- 実施時期
- 実施場所
プロフィール
【一般社団法人チェルフィッチュ】
岡田利規が全作品の脚本と演出を務める演劇カンパニーとして1997年に設立。芸術及び文化活動の増進に寄与することを目的とする。現代社会に呼応した演劇を新たな手法で創造することを目指し、現代の”言葉”と現代の”身体”を極めて日常的な題材に取り込み、同時代の社会的観念をよりリアルに表現する。独特な言葉と身体の関係性を用いた手法が評価され、現代を代表する演劇カンパニーとして国内外で高い注目を集めている。
【岡田利規】
1973年横浜生まれ、熊本在住。『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞受賞。小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』で第2回大江健三郎賞受賞。『プラータナー:憑依のポートレート』で第27回読売演劇大賞 選考委員特別賞受賞。戯曲集『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』で第72回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞受賞。