未来に受け継ぐピアノ音楽の実験
※採択時点での情報です。
- 採択団体・個人名
- 一般社団法人 もんてん
- 助成区分
- 東京芸術文化創造発信助成
- 助成タイプ
- 長期
平成30年度 東京芸術文化創造発信助成 [長期助成プログラム]



事業概要
本事業は近年演奏機会が減少している拡張されたピアノ奏法作品(プリペアド・ピアノ、内部奏法、ライヴ・エレクトロニクス等)の発信に係る問題を、音楽家、ホール運営者、研究者のそれぞれの立場から提起、可視化し、課題を解決していくことを目的とする。 中心メンバーは、井上郷子(ピアニスト)、庄野進(音楽学者)、伊藤祐二(作曲家)、黒崎八重子(申請団体代表)。 本プロジェクトはワークショップ部門とリサーチ部門の2本の柱で活動を行った。 3年目の活動では、「リサーチ部門」内の「ホールリサーチ部門」の活動を拡大し、拡張されたピアノ奏法が実施できる環境向上に直接働きかけるための態勢を整えた。 その後、新型コロナウイルス感染拡大防止のため一部の事業を一年間延期して実施した。 最終年度に、各部門によるこれまでの全ての活動の報告会とシンポジウムを行った。また冊子「拡張ピアノ奏法時のピアノ管理ガイドライン」〔本事業の公式ウェブサイト内からダウンロード可能〕を作成し、その報告会を開催した。そして、本事業の公式ウェブサイト「Extended Piano – 拡張ピアノ奏法のすべて ―未来に受け継ぐピアノ音楽の実験―」を開設し、プロジェクトの全ての活動内容を公開した。
index【1年目プロジェクト】
①ワークショップ ・拡張ピアノ奏法の基礎の紹介とレクチャー。 ②リサーチ ・文献研究による拡張ピアノ奏法作品のリサーチ。 ・ピアノメーカー、ホール関係者、アーティストに対する拡張ピアノ奏法の現状についての予備調査。 【2年目プロジェクト】 ①ワークショップ(1年目からの継続) ・拡張ピアノ奏法の基礎の紹介とレクチャー。 ②リサーチ(1年目からの継続) ・拡張ピアノ奏法作品のアーカイヴ構築にむけての作業。 ・国内ホール及び調律師への拡張ピアノ奏法実施についてのアンケート調査を実施。諸外国における拡張ピアノ奏法実施に関する現状調査。(ピアノ管理指標提言の準備) ・公開イベント「作曲家座談会:ピアノ奏法の拡張について考える」。 【3年目プロジェクト】 ①ワークショップ部門 ・拡張ピアノ奏法ワークショップ応用編<アンサンブル・その他>の実施。(1年目からの継続) ・拡張ピアノ奏法作品による創作及び実演に伴う課題を把握するための実験的な公演の実施。 ②リサーチ部門 ・ピアノによる特殊奏法作品の音楽学的リサーチ。(1年目からの継続) ・ホールリサーチ部門(メンバー7名)を組織し、非公開の研究会のほか、公開座談会(ホールアンケートの報告会と調律師による座談会、ほか)を2020年10月20日に実施。 ・本事業でまとめた「劇場・音楽ホール等におけるピアノ特殊奏法の実施状況に関するアンケート調査」の結果は、「JaSMAM(日本音楽芸術マネジメント学会) 第13回冬の研究大会」でも発表を行った。 【3年目プロジェクト(※新型コロナウイルス感染拡大防止のための事業延期)】 ①リサーチ部門 ・これまでのリサーチ(研究)の成果として、「拡張ピアノ奏法 作品データベース」と「文献データベース」を、本事業の公式ウェブサイト「Extended Piano – 拡張ピアノ奏法のすべて ―未来に受け継ぐピアノ音楽の実験―」で公開した。 ・2022年8月7日に、各部門からこれまでの活動の報告を行うとともに、「拡張ピアノ奏法の可能性―作曲、演奏、ホール管理、楽器保守との関わりから」と題したシンポジウムを開催した。 発表者: ◎ワークショップ部門 井上郷子 ◎作品リサーチ部門 池原舞 ◎ホールリサーチ部門 黒崎八重子 シンポジウム登壇者: 長木誠司(司会・進行) 伊藤祐二(作曲家、プロジェクトメンバー) 井上郷子(ピアニスト、プロジェクトメンバー) 鐘ケ江織代(元ホール職員、リサーチ部門メンバー) 近藤譲(ゲスト作曲家) 三浦明道(調律師、ワークショップ講師) ・「拡張ピアノ奏法時のピアノ管理ガイドライン」を作成し、2022年1月30日に作成報告会及び提言を行った。 ※同ガイドラインは、冊子として印刷し、アンケート調査協力施設・および希望者に向け2022年4月に送付。また本事業の公式ウェブサイトから無料でダウンロード可能。
拡張ピアノ奏法時のピアノ管理ガイドライン
②ウェブサイト公開部門 ・本事業の全ての活動記録をまとめた公式ウェブサイト「Extended Piano – 拡張ピアノ奏法のすべて ―未来に受け継ぐピアノ音楽の実験―」を開設して公開した。
index
- 実施時期
- 実施場所
プロフィール
【一般社団法人もんてん】
両国門天ホール(50席、2013年開設)を運営する団体。「伝統と現代」という二極を行き来しながら、様々な音楽やパフォーマンスを意欲的に紹介し上演している。常に実験的なイベントが開催され、新たな文化を生み出している。
【井上郷子】
東京学芸大学大学院作曲科修了。「ムジカ・プラクティカ・アンサンブル」のメンバーを経て、1991年よりソロ活動。国内外で多くのリサイタルを行ない、特に、近藤譲やモートン・フェルドマン作品の演奏で高い評価を受ける。ソロアルバムとして HatHut Records(スイス)等より6タイトルが出版。第10回佐治敬三賞受賞。国立音楽大学教授。