放浪の系譜…瞽女唄とアジアの遊行文化
※採択時点での情報です。
- 採択団体・個人名
- 一般社団法人 もんてん
- 助成区分
- 東京芸術文化創造発信助成
- 助成タイプ
- 単年
平成27年度 第Ⅰ期 東京芸術文化創造発信助成 [単年助成プログラム]



事業概要
日本の精神文化を解き明かす際に忘れることの出来ないのが放浪・遊行性である。放浪・遊行者には、多くの宗教者、歌人俳人だけでなく、芸能者としての瞽女や絵解きたちがいた。今回の催しは、庶民の哀歓の中に身を置き底辺から社会を支えてきた漂泊者の文化に改めて焦点をあて、さらに海外の放浪民の研究者らをゲストに迎え、共通の地平を探っていく。 企画監修:伊東喜雄/制作:黒崎八重子 <2015年5月5日(日)> 第1回 「人はなぜ旅をするのか」 ・上映:[瞽女さんの歌が聞こえる](34分2009制作/監督=伊東喜雄)……伝統芸能保持者として無形文化財にも採択されている越後高田瞽女の生活と最後の旅の記録映画 ・講演:人はなぜ旅をするのか~日本文化と放浪の系譜/林雅彦(日本思想史、民俗学) ・実演:長岡葛の葉会(長岡瞽女唄を継承する晴眼者グループより)/横川恵子、金川真美子 ・座談会:〔登壇者〕林雅彦、横川恵子、金川真美子、伊東喜雄 司会進行=斎藤弘美 <2015年9月13日(日)> 第2回 「いまに生きる『絵解きの世界』~曼荼羅から紙芝居まで〜」 ・上映:[ベンガルの絵師ポトゥア]より(1995制作/監督=北村皆雄・三浦庸子) ……サンタル(西ベンガル州)の語り絵を通してインド文化の深層をさぐる映像。 ・実演:「善光寺如来絵伝」 絵解き=林麻子(唱導文化研究所研究員)/インド編・ポトゥア=東野健一(ポトゥア・パフォーマー) ・講演:絵解きの歴史と意義/林雅彦(国際熊野学会代表・明治大学名誉教授・唱導文化研究所代表) ・座談会:〔登壇者〕林雅彦、東野健一、林麻子、伊東喜雄 司会進行=斎藤弘美 <2016年1月24日(日)> 第3回 「韓・琉・日に通底する巫術の世界」 ・上映:記録映画 ムーダンの映像[死後結婚](崔吉城 撮影) ・実演:歌うキネマ「風の丘を越えて」/趙博[ちょう・ぱく](シンガーソングライター&歌劇派芸人) ・講演:韓・琉・日に通底する巫術の世界/崔吉城[ちぇ・きるそん](現東亜大学教授、同大学東アジア総合文化研究所所長、広島大学名誉教授) ・座談会:〔登壇者〕崔吉城、趙博、伊東喜雄 司会進行=林雅彦 ・総合司会=斎藤弘美
- 実施時期
- 2015年5月5日(火)、9月13日(日)、2016年1月24日(日)
- 実施場所
- 両国門天ホール(東京都墨田区)
プロフィール
伊東喜雄(いとう よしお)
1941年東京出まれ。放送作家。昭和42年高田瞽女杉本キクイさんに出会い、以後当時は健在だった長岡、柏崎、伊那、鹿児島(知覧)の瞽女さんたちと交流を重ねた。ラジオ番組「越後瞽女唄」(4回シリーズ)テレビ番組「生きている人間旅行・90歳の瞽女伊平たけさん」のほかドキュメンタリー作品を中心に多数制作。平成20年記録映画「瞽女さんの唄が聞こえる」を完成。
門天ホールでは、2010年4月より隔月6回シリーズで記録映画「瞽女さんの唄が聞こえる」の上映会と座談会を開催した。この瞽女の歴史的現代的意味を再考する試みの反響が大きかったことから、今年度、瞽女をキーワードに新たな視点での漂泊者の文化に焦点をあて、放浪民の共通の地平を探る試みをするために、瞽女企画第2弾となる本企画において伊東氏を企画監修者に迎えることとした。