「カテゴリーI [単年助成] 芸術創造活動」には 445 件の申請があり、68 件を採択いたしました(採択率 15.3%)。助成予定総額 106,155 千円です。うち「創作環境サポート費」は 15 件で予定総額 1,167 千円です。
《音楽分野》
◆申請件数(採択件数):103(11)
内訳:都内での芸術創造活動 84(8)
国際的な芸術交流活動 19(3)
◆採択率:10.7%
第1期として過去2番目に多い103件の申請があり、初申請が全体の約6割となりました。これまで助成制度を活用してこなかったジャンルや事業者からの多様な申請が増えました。この傾向は活動ステージにも表れており、活動基盤形成期が5割、活動拡大・発展期が3割強となり、新たな取り組みのきっかけや活動のステップアップを図る事業が多くみられました。また、国際的な芸術交流活動の採択金額が、音楽分野の採択総額の5割を超えました。初申請のなかには、記入間違いや書き込みの足りない書類が見られました。ガイドラインを参照の上、事業のアピールポイントを捉えたテキストの作成をお願いします。
《演劇分野》
◆申請件数(採択件数):138(17)
内訳:都内での芸術創造活動 127(14)
国際的な芸術交流活動 11(3)
◆採択率:12.3%
申請件数138件は、過去最多だった2024年度第1期の160件を下回ったものの、依然として分野別で最多の申請数でした。活動ステージ別に見ると活動基盤形成期、活動拡大・発展期の申請者が多く、併せて78%にのぼりました。ジェンダーやマイノリティ、格差、クオリティ・オブ・ライフといった社会的テーマや他者に目を向けて関心を持ち、作品を通して観客に考える機会を提供しようとする試みが多く申請されました。創作テーマや創作・制作の核となる人物だけではなく、日時・会場はもとより出演者やスタッフなど創作・制作体制が整えられ、事業内容が具体的で、かつ取り組みと目的・目標が適合している事業が採択となっています。
《舞踊分野》
◆申請件数(採択件数):24(9)
内訳:都内での芸術創造活動 17(6)
国際的な芸術交流活動 7(3)
◆採択率:37.5%
申請件数は、2024年度第1期より増加し、24件でした。今期は活動基盤形成期と活動拡大・発展期の申請の比率が高く、公演を重ねながらリサーチや表現における独自の手法を磨いている団体による、作品のテーマを掘り下げて創作する事業が採択となりました。リサーチ対象はアジアでのフィールドワークや古典文学、装い等、多岐にわたっています。また、活動成熟・トップ期の団体による後進育成の視点を持った事業やスタートアップ助成から次のステージに活動を進める若手団体からの申請も採択になっています。国際的な芸術交流活動の採択は3件で、いずれも波及力が見込まれます。申請の多くを舞踊の公演形式の活動が占めましたが、ジャンルを超えたアーティストが参加するフェスティバル事業も1件採択となっています。舞踊の表現を拡張するような申請も期待しています。
《美術・映像分野》
◆申請件数(採択件数):61(7)
内訳:都内での芸術創造活動 46(5)
国際的な芸術交流活動 15(2)
◆採択率:11.5%
申請件数及び採択件数は2024年度第1期と比較して増加し、活動基盤形成期と活動拡大・発展期にある個人や団体からの申請の割合が大きくなっています。また初申請は58件で全体の 85%を占め、2024年度第1期よりも10%増えました。採択となった事業は7件で、その内容は若手作家や若手キュレーター・研究者が企画する展覧会や、実験映画や個人映画に関する批評家育成ワークショップと上映等が採択されました。また美術大学や大学教員からの申請があり、大学設立125周年を記念した展覧会事業や、個人からの申請の中では、海外での芸術祭参加や海外でのリサーチと発表等、作家活動の中で今後の発展が見込める事業が採択となりました。
《伝統芸能分野》
◆申請件数(採択件数):39(13)
内訳:都内での芸術創造活動 34(12)
国際的な芸術交流活動 5(1)
◆採択率:33.3%
申請件数は第1期としては過去2番目に多い39件でした。当分野の採択率は例年5割程度と他分野より高い傾向にありますが、今期の採択件数は13件で、採択率は約3割と例年を下回りました。要因として、例年は数件程度の個人からの申請が14件に増加した一方、内容で未定部分が多いものや事業実施後の展開が曖昧なもの、書類の書き方を間違えているものが目立ち、個人の採択は1件に留まったことが挙げられます。また、初申請は21件で、全体の約5割を占めました。活動ステージ別で見ると、活動基盤形成期と活動拡大・発展期がそれぞれ約4割、活動成熟・トップ期が約2割でした。種目別では、邦楽、能楽、日本舞踊、演芸(落語)、雅楽ほか幅広い申請がありました。これまでの活動の課題と今後の展望が具体的に検証され、申請事業の計画が明確で、独自性と継承性をあわせ持った事業を採択としています。
《複合分野》
◆申請件数(採択件数):80(11)
内訳:都内での芸術創造活動 63(8)
国際的な芸術交流活動 17(3)
◆採択率:13.8%
今期は、当分野として過去最多の80件の申請があり、11件が採択となりました。申請内容は多岐にわたり、複数分野の要素を融合させた事業や、アーティストがジャンルを超えて協働する企画などが見られました。また、分野全体の21%が国際的な芸術交流活動での申請で、特に伝統芸能分野に関連する複数の申請があったことは今期の特徴的な傾向です。その中から、街全体を舞台に日常の中でアートに触れる機会を創出する事業や、現代サーカスとメディアアートを組み合わせた事業、海外での挑戦的な創造活動が期待される事業など、革新性や独創性が高く、かつ実現の見込める事業が採択となりました。