Photo by Itaru Hirama
新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、自然災害の増加、絶えざる各地での紛争など、地球に住む私たち一人ひとりの日常生活が脅威にさらされています。こうした中、世界の中での日本の存在感が希薄になりつつあるようにも感じます。環境問題や福祉・介護問題への取り組み、芸術文化の充実と普及がより重要で、その存在感を発揮する鍵になるのではないでしょうか。
東京は江戸と呼ばれていた頃から、政治経済、芸術文化の中心として発展してきました。江戸情緒を感じさせるもの、大正時代以降に育まれたハイカラなもの、戦後、目覚ましい復興を遂げる中で花開いたものなど、地域ごとの特色も多彩です。さらに現在、若者たちが新たな文化芸術を芽生えさせてもいます。芸術文化都市としての東京は、まだまだ大きな可能性を秘めていると感じます。
東京の創造力、発信力をさらに高めるために発足したアーツカウンシル東京は、今年で10年を迎えます。行政機関と芸術文化団体・アーティストの間に立つ中間支援組織として、個人や団体などの芸術文化活動をさまざまな形でサポートし、芸術文化が醸成される環境を整える事業を展開しています。
芸術文化に親しみ、自らの創造性を活かすことは、心を豊かにし、幸せな暮らしに大切なのは量ではなく質であると気づかせてくれます。そして、互いの違いを尊重し、相互に平和な関係を築く支えになるはずです。苦しく困難な状況の中では、明日への勇気と希望を与えてくれることでしょう。
東京を芸術文化でより生き生きとした都市にする。それは今を生きる人たちだけでなく、50年後、100年後を生きる人たちの暮らしを明るくすることだと考えます。 アーツカウンシル東京がその役割を果たしていけるよう力を尽くす所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
アーツカウンシル東京
機構長 青柳正規