アーツカウンシル東京の事業

「尺八でつなぐ世界3都市」プロジェクト ~浮世絵に描かれた尺八をめぐって~

  • 団体名 : The Shakuhachi 5
  • 区分 : 芸術創造活動を主とするもの
  • 助成タイプ : 長期
  • 分野 : 伝統芸能

プロジェクト概要

3年を通じてNY・プラハ・東京各都市に存在する「尺八が描かれた浮世絵」を調査する。各都市に滞在し、現地美術館で実地調査を行うと共に、各都市で活動する作曲家・映像作家と直接会い、各地の「尺八が描かれた浮世絵」を元にした、音楽・映像作品の制作を行う。3都市の作品を関連・発展させながら創作を行い、NYとプラハでそれぞれの作品を初演する。そして、最終地である東京公演では、東京作品を初演するとともに、NY・プラハの2作品を再演し、3都市を音と浮世絵で繋ぐ。
 また、「作曲家のための尺八奏法・用語集」(尺八楽器法)の作成を行い、HP上で無料公開する。1年目に日本語版を完成させ、2年目では英語版を作成し、3年目には文章と動画を連動させて、より理解しやすいものにする。


【1年目プロジェクト概要】
NY・プラハ・東京の浮世絵専門家と連絡を取り、各都市に存在する「尺八が描かれた浮世絵」の調査を行う。1年間の成果を2024年6月開催の「尺八が描かれた浮世絵」に関するレクチャー公演で報告する。そして、各都市の作曲家・映像作家候補者の情報を集め、選定を行い、作品委嘱・交渉を行う。また、尺八楽器法の日本語版を完成させる。

(1)「3都市に所蔵される浮世絵の調査」事業
内容:各都市の浮世絵専門家にコンタクトを取り、調査を開始する。専門家は、藤澤茜(国際浮世絵学会理事)、John Carpenter (NYメトロポリタン美術館学芸員)、Jana Ryndová(プラハ国立美術館学芸員)。本プロジェクトの計画と調査の結果について、2024年6月9日開催の「尺八が描かれた浮世絵」に関するレクチャー公演(トーク&演奏)にて報告。後日、編集したものをWebで公開した。会場は太田記念美術館で、トークゲストに藤澤茜氏をお迎えした。
    〈公演プログラム〉
(1)さくら (2)古伝巣籠 (3)トーク1 (藤澤茜) (4)砧巣籠 (5)鶴の巣籠
(6)トーク2 (藤澤茜) (7)都山流「鶴の巣籠」 (8)巣鶴鈴慕
(9)トーク3 (The Shakuhachi 5) (10)Shakuhachi Five
※演奏者の後ろに、それぞれ曲とリンクする浮世絵を投影した。
日時:2023年8月1日~2024年6月30日
会場:太田記念美術館

(2)「3都市の作曲家・映像作家の選定と交渉」事業
内容:NYJapan Society、プラハのNEIROに紹介いただいた候補作曲家、候補 
映像作家の情報を集めて精査・選定を行い、交渉を行った。最終的に決定したのは以下のとおり。
【N  Y】 作曲家:Lisa Bielawa/映像作家:Tei Blow
【プラハ】 作曲家:Miroslav Srnka/映像作家:Marek Matvija
【東 京】 作曲家:原田敬子/映像作家:未定
備考① NYのLisa Bielawa氏の新曲に関しては、最終的にJapan Society
との共同委嘱となった。/備考② 東京公演担当の映像作家を何人か
精査をしたが、決定には至らなかった。
日時:2023年8月1日~2024年5月30日
会場:― ―

(3)「尺八楽器法の作成(日本語)」事業
内容:現代に即した、新たな「尺八楽器法」(日本語版)を作成し、Official Websiteで無料公開した。内容は、尺八の基本知識である、楽器の「歴史」と「構造」を述べた後、「運指表」「音域表」を掲載した。その後、尺八ならではの技法である首の技法「メリ/カリ」「ユリ (ヴィブラート)」について、息の技法である「ムライキ・カザイキ」等を説明。そして、「古典で使用する技法」や「各流派独自の技法」、さらに「特殊技法」について言及した。また、楽器の倍音構造を示す「ハーモニクス集」も加える事で、他にはない独自のものになっている。
日時:2023年8月1日~2024年6月30日
会場:― ―


【2年目プロジェクト概要】
 1年目で調査した「尺八が描かれた浮世絵」について、実際に現地美術館(NY・プラハ)に赴き、実物を見て調査を進める。そして、作品を共に作成する作曲家・映像作家・公演主催者に会い、打合せを行う。そして、最終的に公演(NY・プラハ)を行い、新作の初演をする。また、完成した日本語版「尺八楽器法」の英語版を作成し、HP上で無料公開する。

(1)「海外公演(NY・プラハ)」事業
内容:1年目から続けてきた「尺八に描かれた浮世絵」を題材とした新作(音楽+映像)をNY・プラハ公演で発表し、3年目の東京本公演に向けた礎を作る。NY公演では作曲家Lisa Bielawaと映像作家Tei Blowによる作品を初演。プラハは、作曲家Miroslav Srnkaと映像作家Marek Matvijaによる作品を初演。他には、「五重奏版 鹿の遠音」 (古典本曲/The Shakuhachi 5編曲)、「沙羅双樹」 (西村朗)、「観音アナトミー」 (望月京)、「Five」 (John Cage)等を演奏予定。

(2)「尺八楽器法作成(英語)」事業
内容:完成した日本語版の尺八楽器法を元に、英訳を音楽・楽譜に特化した専門家(選定中)に依頼する。実際委嘱する作曲家とのやり取りのなかで生まれていくものを積極的に取り入れて行く。


【3年目プロジェクト概要】
 東京に存在する「尺八が描かれた浮世絵」を元に、選定した作曲家・映像作家と共に作品制作をし初演を行う。そして、3月の東京公演で、NY・プラハ・東京の三作品を並べて披露する。また、完成した「尺八楽器法」(日・英)に連動しる映像を作成し、連携させる。

(1)「東京本公演」事業
内容:3年に渡る調査と作品制作の集大成となる公演。各都市に収蔵されている浮世絵が、3つの新しい音楽・映像作品となって一つの公演に集結する。第1部はこれまで培ってきた、レパートリー「五重奏版 鹿の遠音」 (古典本曲/The Shakuhachi 5編曲)、「Shakuhachi Five」 (藤倉大)、「沙羅双樹」 (西村朗)、「観音アナトミー」 (望月京) 、「Five」 (John Cage)他の中から選曲。第2部は、NY・プラハで発表した作品の再演。そして、原田敬子と映像作家による新作を初演する。

(2)「尺八楽器法の作成(動画作成)」事業
内容:完成した「尺八楽器法」(日本語・英語)に書かれた奏法を、実際に動画で説明するため、個別の奏法他を撮影し編集する。そして、Webページと動画(YouTube)を連動させ完成させる。

プロフィール

【The Shakuhachi 5】
古典のみならず、現代の表現を求め活動を続ける5人、小濱明人・川村葵山・黒田鈴尊・小湊昭尚・田嶋謙一が結成した超流派の尺八グループ。2020年に作曲家 藤倉大氏が手掛けたテレワーク作品を本人の指揮と共に収録し、動画を公開。これが実質的なデビューとなる。同年、邦楽ジャーナル誌の表紙を飾り、巻頭インタビューも掲載された。その後、藤倉大、西村朗、望月京各氏に曲を委嘱し初演。2024年、それらを収録した1stアルバムを発表した。

お問い合わせ

The Shakuhachi 5
theshakuhachi5@gmail.com