アーツカウンシル東京の事業

熱触療法のポリフォニー

  • 団体名 : 今宿未悠
  • 区分 : 都内での創造活動
  • 助成タイプ : 単年個人
  • 分野 : 複合・その他

事業概要

詩やパフォーマンスアートの領域において横断的に活動する、今宿未悠による企画。身体的接触と熱を介して関係性を再構築するインタラクティヴ・パフォーマンス《熱触療法》を起点とし、多言語によるテキストと音声を用いたインスタレーションとして展開された。

パフォーマンスでは、参加者とアーティストが一対一で向かい合い、温めたパラフィンに手を浸し、繰り返し膜を形成する行為を通じて、触覚・身体感覚を共有する。その記憶をもとに、母語が異なる7名の文学者(詩人、翻訳家、エッセイスト)がテキストを執筆。これらの言語的記録と読み上げ音声を組み合わせ、多層的な「声」が響く展示空間を構成した。

会場である元クリニックという特異な空間性を活かし、「治療」「再生」「感覚のリハビリテーション」といったテーマも背景に内包。身体性と言語、多声的な記録、そして他者との関係性をめぐる実験的展示である。

プロフィール

【今宿未悠】
2000年生まれ。詩、パフォーマンス、メディアアートの領域で活動。
自分自身や他者、世界との〈やわらかでたしかな統合の地点〉を模索するために、ひとの身体の輪郭を揺さぶる(融和ないしは分裂させる)装置や状況を構築し、自らや他者を巻き込む試演を行っている。そうした装置や状況は、ときに詩(言葉)のかたちをとり、ときに具体的なオブジェクトとして立ち現れる。
主な作品に、手を握り合いながら熱したパラフィン液(蝋)に何度も沈め、その形を保存する《熱触療法》、鑑賞者を圧縮袋に入れ空気を抜くことで、身体が圧迫される瞬間の融和/分裂状態を体験させる《Pressure-Pleasure》などがある。
主な受賞に第1回西脇順三郎賞新人賞。主な出版物に詩集『還るためのプラクティス』(七月堂)。

実施場所

準備中クリニック(東京都八王子市)


※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。