上野恩賜公園を舞台に、アートで日本文化を世界に発信し、開催3日間で32万人強の来場者で賑わった昨年の「TOKYO数寄フェス」。今年はディレクターも新たに、アートが公園を飛び出して街中にも展開。さらに会期を10日間に延長して開催します。
世界最高水準の文化芸術都市の未来を創出するため、アートのチカラで上野がつくり出した価値を再認識し、公共空間である公園を進化させ、世界とつながり、多様性から生まれる新しい価値を創造しつづけます。
上野で、何かが蠢いている。
歴史の地層が積み重なり、ミュージアムや大学が集積しているこの地に刻まれた時間の垂直軸に、横から揺さぶりをかけている者たちがいる。それは展示室やアトリエを飛び出したアーティストたちである。この感性を形にする者は、AI万能時代を生き抜く能力を持ち、他の人たちが見ていないものを見ることができるだろう。彼らがおそらく世界でも稀なほど濃密な「公共空間」を切り裂く、作品の設置やプロジェクトの実施を今年もおこなう。今年は、昨年の3日間のイベントが10日間の作品設置になり、かつ上野公園を出て谷中地区で海外の若手アーティストや地域との協働をおこなう。それは、上野の文化ポテンシャルと新しい創造力が結びつく試みになるはずだ。
かつてグローバル化の荒波が押し寄せた日本から、独自の文化を発信した岡倉天心は茶の湯を取り上げた。その著作の中で、「真の美はただ『不完全』を心の中に完成する人によってのみ見いだされる。人生と芸術の力強いところはその発達の可能性に存し、この『不完全』を真摯に静観してこそ、東西相会して互いに慰めることができるであろう。」と茶の湯が持つ国際性を強く主張した。「数寄」という言葉に込められた創造性を今いちど噛みしめつつ、ポストオリンピックの文化発信を考える時期がそろそろ来ている。
「TOKYO数寄フェス2017」ディレクター
住友文彦(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科准教授・アーツ前橋館長)
上野公園ができる以前、この場所一帯には寛永寺の仏閣が建ち並んでいました。災害や戦争を経て、明治初期に公園となりました。本作品では、寛永寺の山門「文殊楼(もんじゅろう)」をモチーフに、かつてそこに存在したものや時間、空間、記憶の連鎖を体感させる大型インスタレーションを展開します。
日時:11月10日(金)~11月19日(日)
場所:上野公園 噴水前広場
申込方法:申込不要 ※自由にご覧いただけます。
アーティストの日比野克彦、人類学者で「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」の代表を務める国立科学博物館の海部陽介、葦舟で航海をする探検家の石川仁、この3者の異なるアプローチによる「上野造船所」が上野公園に誕生。「3万年前の航海」にまつわる展示やワークショップを通じて、訪れた人々が想像力の波に乗り、遥か太古から延々と続いてきた好奇心や冒険心に触れる旅に出ます。会期中、池のほとりで日比野デザインの『TANeFUNe』を石川が葦を素材に制作します。 実際に葦を手に取り触れながら、海部による壮大な実証実験に基づくプロジェクトの資料展示も自由にご覧いただけます。
日時:11月10日(金)~11月19日(日)11:00~17:00
場所:弁天堂前広場
申込方法:申込不要 ※展示・葦舟制作の様子を自由にご覧いただけます。
〈石川仁と作る葦舟ワークショップ~日比野デザインの《TANeFUNe》を作ろう〉
日比野克彦デザインの『TANeFUNe』という特別な葦舟を制作します。
日時:11月10日(金)~11月19日(日)11:00~17:00
場所:弁天堂前広場
定員:各日6名程度(連日参加できる方優先)
申込方法:要事前申込 ※公式ウェブサイトよりお申し込みください。
ワークショップ「今日の記憶を明後日へ運ぶ舟つくり」
葦や上野公園内で集めた落ち葉や枝を素材に、「自分の記憶を運ぶ舟」を思い思いに自分で作るワークショップです。
日時:11月11日(土)、11月12日(日)、11月18日(土)、11月19日(日)13:00~16:00
場所:弁天堂前広場
申込方法:申込不要 ※自由にご覧いただけます。
〈『TANeFUNe』進水式〉
日時:11月19日(日)11:00~12:00
場所:上野公園 ボート場
申込方法:申込不要 ※自由にご参加いただけます。
不忍池をキャンバスにたとえ、光を不忍池に投影します。風の流れによって時間とともに変化する、水面にたゆたう反射光を楽しむ作品です。不忍池のボート池全周、池に浮遊するオブジェをLEDライトの淡く柔らかい光が囲みます。現実の世界と水面に映し出された世界の結界をなくしひとつにします。
日時:11月17日(金)~11月19日(日)日没後
場所:不忍池(ボート池)
申込方法:申込不要 ※自由にご覧いただけます。
「素敵な景色を眺めながらお茶をいただく」、そんな夢をかなえるため、橋本が最近取り組んでいる移動式住居と茶室が様々な場所に趣きます。橋本とコラボをした空間で伊藤園のお茶のスペシャリスト「ティーテイスター」たちがお茶を振舞い、お茶の楽しみ方や日本茶の魅力を紹介します。暮らしや住まいのあり方や豊かさについて見つめ直すきっかけを提供します。
日時:11月10日(金)~11月19日(日)11:00~17:00
場所:上野公園 噴水前広場
申込方法:申込不要 ※自由にご覧いただけます。
国際色豊かな両校の学生16人が、フランスと日本での数ヶ月に渡る交流で得た経験をもとにテーマに向き合い、東京・谷中の人々の暮らしに寄り添いながら制作した作品を発表します。
東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻の学生7名は、フランスを訪れ、9名のパリ国立高等美術学校学生と交流をしました。その後のリサーチ期間を経て、10月にパリ国立高等美術学校の学生たちが日本を訪れ、藝大生と共に1ヶ月間谷中で滞在制作を行います。両校の学生はそれぞれの持つ文化や価値観など固有の「部分」を交換したり共有したりしながら、谷中の街に向き合い、共に作品を制作し、展覧会という一つの「全体」を作り上げていきます。
建物の細部にそれぞれの歴史が宿る三軒の古民家で、学生たちが何を発見し、これまでの経験とどのように結びつけ、展覧会に昇華させるのか。個性あふれる若きアーティストたちの試みに、どうぞご期待ください。
担当教員:大巻伸嗣、小沢剛、薗部秀徳、エルザ・カヨ、クレリア・チェルニック
日時:11月10日(金)~11月19日(日)11:00~17:00 ※市田邸は11月14日(火)休館
場所:旧平櫛田中邸、市田邸、旧谷邸
申込方法:申込不要 ※自由にご覧いただけます。
<2017年9月の東京藝術大学の学園祭で学生が制作した御輿の優秀作3基を展示>
展示場所:上野公園 噴水前広場
上野公園の歴史や文化、自然を学びながら、その魅力を発信していく「上野公園スタディーズ」のレクチャーシリーズ。キックオフとなる今回は、住友文彦(TOKYO数寄フェス2017ディレクター)、小沢剛(アーティスト/谷中アートプロジェクト監修)をゲストに迎え、「茶の本」を片手に、ディレクター、アーティストから見た上野公園の魅力と、アーティストにとってのリサーチと異文化共同の可能性について語り合います。
(企画:特定非営利活動法人Art Bridge Institute)
進行:港千尋(NPO法人 Art Bridge Institute)
日時:11月10日(金)17:00~19:00
場所:東京都美術館 講堂
定員:200名
申込方法:要事前申込 ※公式ウェブサイトよりお申し込みください。
「上野造船所 不忍池 舟プロジェクト」に関連したトークイベントを開催します。
日時:11月10日(金)20:00~21:30
場所:東京文化会館 大会議室
定員:50名
申込方法:要事前申込 ※公式ウェブサイトよりお申し込みください。
昨年度好評をいただいた、照明デザイナー・面出薫(めんで かおる)団長率いる「照明探偵団」が、再び上野公園にやってきます。
前回の照明調査フィールドワークに引き続き、今回は東京国立博物館に照明器具を設置して検証実験を実施します。夜を楽しむエリアとして、上野公園はどうあるべきか。照明の専門家と参加者が一緒に考えるワークショップです。
第一回は東京国立博物館の照明調査を行い、理想的な明かりのあり方のイメージスケッチをします。第二回では照明機材を用いて、さまざまなライトアップ方法を実験します。第三回はライトアップ本番。実験の成果をお披露目します。
(企画:照明探偵団、協力:パナソニック株式会社)
日時:10月16日(月)18:00~21:00、11月13日(月)18:00~21:00、11月14日(火)18:00~19:00
※連続ワークショップ(全3回)の参加申込は終了しました。「11月14日(火)ののみ追加募集を行います。
場所:東京国立博物館
※東京国立博物館は、10月16日(月)、11月13日(月)は閉館日、11月14日(火)は17時閉館となります。ご了承ください。
定員:30名
申込方法:要事前申込 ※公式ウェブサイトよりお申し込みください。
こぱんだウインズが上野公園 噴水前広場の大巻伸嗣作品前にて、金管六重奏の演奏をお届します。
日時:11月19日(日)14:00~14:30/16:00~16:30
場所:上野公園 噴水前広場
申込方法:申込不要 ※自由にご覧いただけます。
東京藝術大学邦楽科の学生たちが、水をテーマに演奏会を開催いたします。
日時:11月17日(金)19:00~20:00
場所:東京国立博物館 法隆寺宝物館
参加費:無料(但し東京国立博物館の入館料が必要)
定員:70名程度
申込方法:申込不要
<アクセシビリティ向上をテーマに各施設と連携して様々な取り組みを展開>
会期中に開催される上野公園各施設のプログラムにて、託児サービス、通訳、車いす介助などのサービスを提供いたします。
この他にも、ワークショップやコンサートなどの催しを予定しております。
イベント内容は変更される場合があります。 変更内容、タイムスケジュールや申込み方法などの詳細については、「TOKYO 数寄フェス2017」の公式ウェブサイトにてお知らせします。
上野「文化の杜」新構想実行委員会内 TOKYO数寄フェス2017事務局
TEL:03-5834-2396
上野恩賜公園(不忍池一帯、噴水前広場 ほか)、東京国立博物館、東京都美術館、東京文化会館、谷中地域 ほか