アーツカウンシル東京が主催・共催するイベント情報

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MOTサテライト2020

ハイファイブ-こころのこえ

ジャンル:
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  • 展覧会・上映会
年始における新型コロナウイルス感染症の更なる感染拡大防止のため、都立文化施設で開催する文化事業の一部休止の方針に伴い、「MOTサテライト2020 ハイファイブ-こころのこえ」展の会期は1月13日(水)~2月14日(日)に変更となります。(2020.12.24)

「MOTサテライト」は、美術館周辺の地域とつながり、まちの魅力を掘り起こすシリーズ企画です。2017年より「往来往来」「むすぶ風景」「うごきだす物語」「ひろがる地図」とテーマを設け、清澄白河のまちなかと美術館で4回に渡り開催してきました。最終回となる第5回「ハイファイブ-こころのこえ」では、美術館館内の2か所のパブリックスペースで2組・4名の作家が展示を行います。
私たちの社会はさまざまな主義・主張や、目には見えない形で分断されています。感染症の世界的流行はその分断を浮き彫りにし加速させる一方、困難を乗り越えようと、新しいアイデアや緩やかな連帯も生まれています。「ハイファイブ」とは、喜びや達成感を誰かと共有したい時に、互いの手をたたき合わせる「ハイタッチ(和製英語)」を意味します。私たちが日々、さまざまな物・人・出来事に出会い、感じ、考え、抱く「こころのこえ」を他者と交換/交感/交歓するアクション=ハイファイブ、とも言えるでしょう。その第一歩となるのは、自分とは異なる他者の「こころのこえ」に耳を傾けてみることなのかもしれません。
この展覧会では、2組・4名の作家が美術館の周辺地域で「こころのこえ」に意識を向けた新作を制作します。<ワタリドリ計画>麻生知子・武内明子は、清澄白河をふくむ深川界隈を旅して、印象に残った風景や経験を元に、カルタや旅のしおり、絵画・陶・映像作品を作ります。カルタ作品の題材となった場所を地図に記した旅のしおりは、館内外に設置され、美術館とその周辺地域のまちとを緩やかに結びつけます。高橋琢哉+松山真也は、清澄白河を流れる小名木川流域の調査から、水と人との関わりの文化や人々の個々の物語に目を向け、複合的なメディアを用いたインスタレーションで鑑賞者の記憶や感覚を呼び覚ますことを試みます。これらの様々な表現からなる多声的な作品は、多種多様な来館者が行き交う美術館のパブリックスペースに展示され、館内にまちの様相を疑似的に浮かび上がらせることとなるでしょう。美術館やまちを訪れる人たちが、作家や地域の人々、そして自分自身の「こころのこえ」にも耳を澄ますことで、未知の感覚や意識と巡りあう機会となることを目指します。

展示

<ワタリドリ計画>麻生知子・武内明子
ふたりの画家、麻生知子と武内明子が共同で2009年から各地で行っているプロジェクト<ワタリドリ計画>が、今回は美術館のある清澄白河をふくむ深川地域を旅して、印象に残った風景や経験を元に制作した《手彩色深川旅カルタ》やその絵札の元絵である《旅の手彩色絵葉書》のほか、絵画や陶、映像作品を展示します。さらに、作品の着想を得たスポットを地図上に記した《ワタリドリ計画の深川旅のしおり》が美術館内外に設置され、美術館やまちを訪れた人々は、美術館では作品を鑑賞し、まちでは作品の題材となった場所を巡ることが出来ます。旅のしおりを道しるべに2人の足取りをたどることで、まちを新たな視点で味わうことになるでしょう。地下1Fの情報コーナーでは新作カルタのインスタレーションと、<ワタリドリ計画>の12年間のあしあとや特選手彩色絵葉書をご覧いただけます。

高橋琢哉+松山真也
音楽家の高橋琢哉とデザイナー/エンジニアの松山真也は、清澄白河を流れる小名木川流域を調査。深川の水網と界隈の人々との間で古くから育まれてきた文化/関係性をテーマにイメージや個々人の物語を収集し、視覚と聴覚を横断するマルチプル・メディア・インスタレーション《雷が船と鯰の夢を見た話》を制作します。収集したイメージや物語の断片は、映像・写真・グラフィック・音として、会場に並置された2つのモニターに映し出され、鑑賞者のベンチや水盤周りでの動作によって会場に仕込まれたセンサーが作動し、1つ1つ異なる映像のピースが新たに生成され、モニターの元の映像にリアルタイムで組み込まれていきます。地域の人々と鑑賞者の「物語」が百人百様に変化し、際限なく紡がれていく空間で、人々の無意識下にある感覚を揺さぶり、個々の感情や思い出を引き出すことを試みます。地下1Fの情報コーナーでは新作《彼女はしゃべるように引き算をする》をご覧いただけます。

作家略歴

■ワタリドリ計画
<ワタリドリ計画>とは、画家の麻生知子と武内明子が、作品の題材と展示場所を求めて各地を旅して、その土地・その展示会場ならではの作品を制作し、展覧会を催すプロジェクト。2009年の第1回展を皮切りに、2021年までに全国約30カ所で展覧会やワークショップを実施。それぞれがグループ展の参加や個展の開催のほか、絵本製作(麻生)やテキスタイル原画制作(武内)など、独立した作家として精力的に表現活動を行っている。

-麻生知子
1982年 埼玉県生まれ。画家。東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。日々の思い出の中で、何気なくも面白いと感じた一場面を独特の構図と質感で描き、観る人に作品の中の世界にともにいるような感覚を味わわせる絵画を制作している。
-武内明子
1983年 熊本県生まれ。画家。東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。すべてを自身のフィルターに通すプロセスと、何も考えないまっさらな状態でキャンバスに向かうことを大切に、自由奔放な形や色が織りなす詩的な絵画を制作している。

■高橋琢哉+松山真也
これまでに2人は《MOMENTum》(2014、ミラノサローネ、クリエイターコレクティヴ「KAPPES」として出品)や、賃貸マンション内に居住者専用の瞑想空間としてのインスタレーション《Expose》(2015)の制作のほか、東京国立博物館特別展「縄文-1万年の美の鼓動」(2018)の音響演出等で協働している。

-高橋琢哉
1975年 埼玉県生まれ。作曲家、音楽プロデューサー。Oyster Inc.代表。音楽を、夢や魔術などと同様に、自然と人々の内面や心とを往来し相互に翻訳するための回路としてとらえ、表現形式にとらわれない作品制作をしている。
-松山真也
1978年 富山県生まれ。デザイナー、エンジニア。siro Inc.代表。工学系の大学を経て多摩美術大学大学院デザイン科修了。デジタル技術を用いたアナログな質感の双方向的な表現を探究しつつ、異業種のクリエイターとの協働作品も多数手がけている。

観覧料

無料
※本内容は都合により変更になる場合がございます。

お問い合わせ

03-5777-8600(ハローダイヤル/年中無休 8:00~22:00)
03-5245-4111(東京都現代美術館 代表/平日 9:30~18:00)

開催場所

東京都現代美術館 ホワイエ(1F)、情報コーナー(地下1F)

クレジット

主催
東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館・アーツカウンシル東京
特別協力
深川資料館通り商店街協同組合