アーツカウンシル東京の事業

実演とお話による
伝統芸能パースペクティヴ<第1回>
「語りもの」の声技(こえわざ)

―ものがたりの原像を探る― [浪曲、能、節談説教、聲明]

日本文化の核心に迫るシリーズ企画〈伝統芸能パースペクティヴ〉第1弾。伝統芸能に限らず、演劇・音楽・舞踊・文芸など様ざまな分野に興味のある方、創作・企画・研究活動を行っている方々にも、是非ご覧いただきたい催しです。日本の芸能が拠って立つ「語りもの」の伝統を体感するチャンスです。
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  • 日本の中世から近世までの代表的な「語りもの」4演目を、一級の演者で一挙に上演します。
  • 歌うがごとく語るがごとく、聴聞者の情念に訴える「節談説教(ふしだんせっきょう)」は、東京ではめったに聞けません。
  • 浪曲のイメージが変わります。平成の女性浪曲師と、浪曲界の至宝・超ベテラン曲師(三味線)の共演。
  • 謡曲は、古典「隅田川」のほかに、夏目漱石の小説「夢十夜」を能楽師が語ります。
  • 聲明(しょうみょう)では、「涅槃講式(ねはんこうしき)」から、釈迦入滅の悲しみを激しく表出するクライマックスを朗誦。
  • 知的な刺激も満載。座談では、話芸・語り芸の源泉「聲明(しょうみょう)」「節談説教(ふしだんせっきょう)」と、能の謡曲、浪曲の相関関係を解きほぐします。
  • 会場の「代々木能舞台」は、屋敷内の野外舞台。客席は畳敷き。昔日の演能の風情を伝える、国の登録有形文化財です。

記録動画

入場無料(要予約・定員150名)/全席自由(座布団席)

※定員につき、予約終了しました

*会場は畳敷です。
*畳に座れない事情のある方は、予約時にお申し出ください。
*未就学児の入場はできません。

プログラム・出演

【浪曲】「寛永三馬術(かんえいさんばじゅつ)」より『曲垣(まがき)と度々平(どどへい)』:玉川奈々福(浪曲師)、沢村豊子(曲師)
【能】「隅田川」語り/夏目漱石「夢十夜(第三夜)」:安田登(下掛宝生流ワキ方)、槻宅聡(森田流笛方)
【節談説教】「善導讃説教」:直林不退(浄土真宗本願寺派淨宗寺住職・節談説教研究会副会長・相愛大学教授)
【聲明】「涅槃講式」より:新井弘順(真言宗豊山派宝玉院住職、迦陵頻伽(かりょうびんが)聲明研究会会員)
【座談会】「語りもの」を考える
新井弘順/玉川奈々福/直林不退/安田登/釈徹宗(浄土真宗本願寺派如来寺住職、節談説教研究会副会長、相愛大学教授)
進行:船曳建夫(文化人類学・東京大学名誉教授)
※出演者・内容は変更になる場合がございます。

タイムテーブル

※下記の時間は変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

12:30 開場
13:00 【浪曲】「曲垣と度々平」
13:30 【能】「隅田川」語り/夏目漱石「夢十夜(第三夜)」
14:10 【座談①】「語りもの」を考える1:「語りもの」とは何か
15:00 【節談説教】「善導讃説教」
15:30 【聲明】「涅槃講式」より
15:45 【座談②】「語りもの」を考える2:信心と語り
16:20 終演予定

主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)

企画協力:安田登

予約・お問い合わせ

※定員につき、予約終了しました

「語りものの声技」事務局
電話:050-5898-3837[平日:11時-17時]
【お願いと注意事項】

  • お申込みいただいた方には、入場券をお送りします。当日受付でご提示ください。なお、万一キャンセルされる場合は、必ず事前に電話かメールでご連絡ください。席数が限られておりますため、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 席は、全自由席です。畳敷きの座布団席(桟敷)となっております。
    ※座れない特別な事情がある場合は、予約時にお申し出ください。
  • 客席は、屋内ですが、庭と素通しになっています。当日の天候に合わせて、防寒のご用意は各自でお願い致します。
  • 会場の「代々木能舞台」には、駐車場、クロークはございません。木造につき、全館禁煙です。

浪曲/能/節談説教/聲明について

聲明(しょうみょう)【奈良時代〜現代】

  • 仏教の法会(ほうえ)で、僧侶が経典に節をつけて唱える声楽。
  • 通常は単旋律で、時に打物を用いる。
  • 平曲(へいきょく)や謡曲(ようきょく)など、語りもの音楽の源流といわれる。

節談説教(ふしだんせっきょう)【鎌倉時代〜現代】

  • 仏教の教えを分かりやすく説くために、ことばに節(ふし)をつけた浄土真宗に独特の説法。
  • ひとりの説教者が、修練した声と身ぶりのみで、歌うがごとく語るがごとく聴聞者の情念に訴える。
  • 話が節(ふし)になり、節(ふし)が話になる、という独特の様式は、落語、講談、浪曲などの話芸や語りものに大きな影響を与えたといわれる。

能の謡(うたい)【室町時代〜現代】

  • シテやワキ、地謡(じうたい)が、セリフ、詞章を独特の様式をもった節回し、発声法で謡う能の声楽部分。
  • 囃子(笛、小鼓、大鼓、太鼓)を伴う。

浪曲(ろうきょく)【江戸末期〜現代】

  • 節(ふし)と啖呵(たんか)[セリフ]で人情を物語り歌い上げる。
  • 演題は、親子の情愛もの、仇討ものなど定番から現代の創作まで幅広い。浪曲師各人の節回しの創意工夫が聴きどころ。
  • 三味線(曲師)との掛け合いで、一人で演ずる。

プロフィール

tamagawa
玉川 奈々福 (たまがわ ななふく)
1995年曲師(浪曲の三味線弾き)として二代目玉川福太郎に入門。2001年より浪曲師としての活動を開始。2006年名披露目興行。同年、本橋成一監督『ナミイと唄えば』出演。古典はもとより多くの新作を披露するほか、落語、講談、文楽、琵琶、日舞、近年はパンソリなど、様々な芸能との交流企画をプロデュースする。

sawamura
撮影:矢幡英文

沢村 豊子 (さわむら とよこ)
端唄を習っていたが、11歳のとき九州に巡業にきていた佃雪舟(つくだ せっしゅう)に誘われ、上京して浪曲の三味線を習う。1948年、山本艶子(やまもと つやこ)に入門。戦後の浪花節黄金期に、ラジオ浪曲で活躍していた国友忠(くにとも ただし)の相三味線を長年務めた。現在、国本武春、玉川奈々福の三味線を担当する、日本有数のベテラン曲師。

yasuda
安田 登 (やすだ のぼる)
下掛宝生流(しもがかりほうしょうりゅう)ワキ方能楽師。舞台のかたわら、学生や児童との能ワークショップや、朗読や群読の公演、指導を行う。『論語』などを学ぶ寺子屋「遊学塾」主宰。甲骨文字の研究も行う。著書に、『身体感覚で「論語」を読みなおす。-古代中国の文字から』(春秋社)、『本当はこんなに面白い「おくのほそ道」』(実業之日本社)、『日本人の身体』(ちくま新書)ほか、多数。

tuikitaku
槻宅 聡 (つきたく さとし)
森田流笛方能楽師。公益社団法人能楽協会正会員。重要無形文化財総合指定。東京外国語大学スペイン語学科卒業。1987年、国立能楽堂能楽三役養成事業第二期研修終了。故・寺井啓之および中谷明(ともに重要無形文化財総合指定)に師事。国立能楽堂養成第六期研修講師。1996年「翁」披演。2003年「道成寺」披演。

naobayashi
直林 不退(なおばやし ふたい)
滋賀県大津市浄土真宗本願寺派淨宗寺住職、相愛大学教授・花園大学兼任講師。専攻は日本仏教史・真宗伝道史。主著は『日本古代仏教制度史研究』、『大津浄土真宗寺院史』、『節談椿原流の説教者』、『日本三学受容史研究』(以上、永田文昌堂)、『神田唯憲の節談』(節談説教研究会)。節談説教研究会副会長を務める。

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撮影:市川勝弘

新井 弘順(あらい こうじゅん)
埼玉県所沢市真言宗豊山派宝玉院住職。真言宗豊山聲明を青木融光大僧正より学ぶ。1972年以来国立劇場の古典・新作聲明公演に参画。1973年「日本の伝統と前衛音楽」世界公演以降、ベルリン、パリ、ザルツブルク等の音楽祭に参加。1997年天台宗の聲明家とともに「声明の会・千年の聲」(「聲明四人の会」が前身)設立。上野学園大学日本音楽史研究所で聲明楽譜研究に従事。迦陵頻伽(かりょうびんが)聲明研究会会員。

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撮影:竹中稔彦

釈 徹宗(しゃく てっしゅう)
浄土真宗本願寺派如来寺住職。相愛大学教授。節談説教研究会副会長。NPO法人リライフ代表として、認知症高齢者のためのグループホーム「むつみ庵」の運営にも取り組む。近著に、『宗教は人を救えるのか』(角川SSC新書)、『日本霊性論』(内田樹との共著、NHK新書)など。論文「不干斎ハビアン論」で中外日報社・涙骨賞を受賞。

funabiki
船曳 建夫(ふなびき たけお)
文化人類学者。東京大学名誉教授。メラネシア、東アジア、日本でフィールドワークを行う。関心は、身体における自然性と文化性、儀礼と演劇の表現と仕組みなど。編著書に、『知の技法』(東京大学出版会)、『「日本人論」再考』(NHK出版/講談社学術文庫にて再刊)、最新刊『旅する知―世紀をまたいで、世界を訪ねる』(海竜社)など多数。アーツカウンシル東京カウンシルボード・メンバー。

アクセス

yoyogi
代々木能舞台
東京都渋谷区代々木4-36-14

【電車でお越しの場合】
京王新線 初台駅東口 または中央口(南口出口)より徒歩5分

【バスでお越しの場合】
渋谷駅から中野行・阿佐ヶ谷行 「東京オペラシティ南」下車 徒歩6分

代々木能舞台(国の登録有形文化財)
*京王新線「初台」より徒歩5分