アーツカウンシル東京の事業

Arts Council Tokyo Bridge Meeting(芸術文化団体広報ネットワーク会) 第11回「ユーザー発信時代の、口コミ投稿型サイトの活用性」

Arts Council Tokyo Bridge Meeting第11回のゲストは、トリップアドバイザー株式会社代表取締役の牧野友衛さんをお迎えします。トリップアドバイザーは世界各国730万以上の宿泊施設、航空会社、観光名所、レストラン、美術館・博物館等が掲載された世界最大級の旅行口コミサイトです*1。Google社、Twitter社を経てトリップアドバイザーを指揮する牧野さんと、口コミ投稿サイト活用の可能性を、広報的な視点から探っていきます。

*1 出典:comScore Media Metrix for TripAdvisor Sites, worldwide, July 2017

※実施レポート

2000年にアメリカのマサチューセッツ州で創業したトリップアドバイザーのサイトには、現在49の国と地域の情報が掲載されており、旅行で行ける場所はほぼすべてカバーされているというのが最大の強みです。サイトの平均月間来訪者数は4.5億人を超え、掲載施設は730万件以上、口コミ件数は5億7,000万件以上に上ります。スマホやタブレットで活用できるアプリは世界で4.2億以上ダウンロードされており、旅行先で活用できるサービスを提供しています。旅行の際、非常に多くの利用者が、口コミを参考にすることが判明しており、実際、宿泊施設は96%、レストランは87%、観光施設は81%という数値も出ています*2。口コミ投稿サイトは、旅行者にとってなくてはならない存在と言えるでしょう。

第11回となるArts Council Tokyo Bridge Meetingでは、牧野友衛さん(トリップアドバイザー株式会社代表取締役)をゲストに招き、トリップアドバイザーの役割や現状、今後の可能性から、具体的な口コミの集め方やポイントなどについてもお話いただきました。その後、森隆一郎(アーツカウンシル東京PRディレクター)も交え、口コミサイトを、いかに広報活動に活用することができるかについて、参加者同士のディスカッションが行われました。

*2 2015 ‘Custom Survey Research Engagement’ conducted by Phocuswright on behalf of TripAdvisor.

プレゼンテーション資料(PDF)はこちら
※上記資料に記載されている情報は、2017年11月22日時点のものです。

牧野友衛|トリップアドバイザーを活用することで得られるメリットとは?

日本語版トリップアドバイザーは、2008年に世界で8カ国目としてスタートし、現在では75万件以上の国内施設を掲載しています。2017年のデータによると、アクセスは約24%が海外から、残りの76%の方が日本国内からで、国内アクセス率は対前年比5%の伸びを示しています。「私たちは日本での活用を増やすため、積極的な取り組みを進めています。日本サイトには、”世界”と”日本”、2つの軸で様々なカテゴリのランキングがあります。国内ランキングについては日本独自の取り組みです。京都の伏見稲荷大社に代表されるように、外国人に人気の高い観光スポットが上位にランクインすることで、日本人にも人気が広まるという現象も起きています。また、東京都交通局と一緒に行った、『TOKYO100 ~世界に自慢したい東京のベスト100スポット!~』の中には美術館・博物館が15施設入っており、人気の観光スポットとしての存在意義はとても高いと言えます」と話す牧野さん。トリップアドバイザーの口コミデータは様々なサイトに転載もされるので、閲覧される機会も増えています。


マーケティングにおける口コミの重要性。結果を残し、評価を高めるためにできることとは

「ポータルサイトで、例えば『港区 美術館』と検索した時に、トリップアドバイザーのランキングが検索結果の上のほうに出てきます。ランキングで上位になるということは、それだけ多くのユーザーとの接触機会が多くなるということです」と牧野さんが話すように、広報において口コミは重要な要素になってきています。マーケティングにおいても口コミは非常に重要視されており*3、実際に活用した施設は、ホームページの月間平均PVが40%UP、月間クリック数が25%UPするなど高いパフォーマンスを示すデータも出ています*4。トリップアドバイザーのランキングの上位に表示されるために必要な要素は「口コミの数」「口コミの評価」「口コミの投稿日」の3つ。牧野さんは、「まずは自施設がオーナー登録されているか確認。口コミを様々な方法で集めながら、魅力的な写真を数多く掲載したり、口コミの中身を分析したりすることがポイントです」と話してくれました。そうした取り組みを経て、一定の基準を満たすと、「エクセレンス認証」を受けることができ、それがさらに自施設の評価を高めていくことになります。

*3 Phocuswright and h2c’s Independent Lodging Market: Marketing, Distribution and Technology Strategies Non-Branded Properties, 2015
*4 “Using Guest Reviews to Pave the Path To Greater Engagement,” Atmosphere Research Group, September 2015

現時点で、施設を持たない「イベント」が登録できない点については、メディアとして役割の住み分けを考えていると話す牧野さん。「話題性のある短期間のイベントなどはFacebookやTwitterなどで取り上げられますので、私たちは常設のものにフォーカスし、しっかり取り上げていきたいという考えがあります。しかし長期イベントについてはどこかのタイミングで今後登録できるようにした方が良いとも考えています」と話されました。
(詳しい「オーナー登録」の方法は冒頭のプレゼンテーション資料内に記載)


グループディスカッション|口コミを広報活動に生かすために必要なこと

プレゼンテーションを踏まえ、参加者の皆さんが5つのグループに分かれてディスカッションを行い、それぞれ牧野さんへの質問を発表。複数のグループから上がった「イベントの登録ができないのが残念」という意見には、「口コミサイトに情報を登録するだけでなく、SNSに投稿されている意見を拾ってイベントや施設の紹介に織り交ぜていく、そういう活用も考えられるのでは」と森からの提案もありました。

そして、トリップアドバイザーのような口コミ投稿サイトを広報活動に活用していくための、現状の課題抽出と解決案も検討されました。「FacebookやTwitterなどは各団体や企業が次々と発信するため、情報がタイムライン上でどんどん流れていき、埋もれてしまうのが難点。その点口コミサイトは蓄積されていくのが良い」、「サイト内でチケットの事前登録などができれば集客につながる」という意見や、「(トリップアドバイザーに)イベントが登録できないという点に関しては、イベントが行われる会場を『施設』として登録し、アクティビティのページで紹介すればよいのではないか」という打開案もアイデアとして出されました。今後も、口コミの可能性と広報活動に生かす方法を探りながら、さらに検討を深めていくことになりそうです。

ゲスト

牧野友衛
トリップアドバイザー株式会社代表取締役。AOLジャパン株式会社でサービス開発およびビジネス開発業務を担当後、2003年にグーグル株式会社に入社。ビジネス開発担当として、GoogleやYouTubeの新規プロダクトの国内展開を推し進めた。2011年に、Twitter Japan入社。国内の利用者拡大の責任者として、事業戦略の立案と実施を行った。2016年9月1日、トリップアドバイザー株式会社代表取締役に着任。総務省による、 ICT(情報通信技術)分野への挑戦者を支援するプログラム「異能(Inno)vation プログラム」のアドバイザーも務める。

対象

芸術文化団体等で主に広報を担当している方、芸術文化研究者等

定員

30名程度(要事前申込、先着順)

料金

無料

申込方法

必要事項(1.ご氏名、2.ご所属先、3.ご連絡先)をご記入の上、artscouncil-tokyo@prap.co.jpまでお申し込みください。

※お申し込みはご本人様に限ります。
※受付は先着順です。
※お申し込みをいただいた方には事務局より返信いたします。3日以内に返信がない場合は、お手数ですが、下記事務局までお問い合わせください。
※お申込みいただきました方のご所属と個人名は当日のゲストへ共有させていただきます。共有を希望しない場合は事務局までご一報ください。

※法令及びその他の規範に従い、ご記入いただきました個人情報は当事務局が責任をもって管理いたします。 本事業以外、他で使用する事は一切ございません。

お問い合わせ

芸術文化団体広報ネットワーク会事務局
株式会社プラップジャパン 岩坂、金子、松葉
TEL:03-4580-9106
FAX:03-4580-9132
E-mail:artscouncil-tokyo@prap.co.jp

開催場所

アーツカウンシル東京 大会議室
(東京都千代田区九段北4-1-28 九段ファーストプレイス8階)

クレジット

主催
アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)