アーツカウンシル東京の事業

未来に受け継ぐピアノ音楽の実験

  • 団体名 : 一般社団法人 もんてん
  • 区分 : 芸術創造環境の向上
  • 助成タイプ : 長期
  • 分野 : 音楽

プロジェクト概要

 本事業は近年演奏機会が減少している拡張されたピアノ奏法(以下、特殊奏法と表記)作品(プリペアド・ピアノ、内部奏法、ライヴ・エレクトロニクス等)の発信に係る問題を、音楽家、ホール運営者、研究者のそれぞれの立場から提起、可視化し、課題を解決していくことを目的とする。今年度は「リサーチ部門」内の活動「ホールリサーチ部門」のメンバーを増強し、創造環境の向上に直接働きかけるための態勢を整える。(これまでの「リサーチ部門」の研究成果は、最終年度(4年目)にインターネット上で広く一般に向けて公開する予定である。)
 中心メンバーは、井上郷子(ピアニスト)、庄野進(音楽学者)、伊藤祐二(作曲家)、黒崎八重子(申請団体代表)。

【目的】
(1)特殊奏法ができるホールが増えること。
(2)特殊奏法ができる音楽家が増えること。
(3)特殊奏法を含む曲を作る作曲家が増えること
(4)特殊奏法を楽しむ聴衆が増えること。

【目的達成のための手法】
①特殊奏法の演奏法、作曲法を学ぶことのできる機会を提供する。
②特殊奏法作品のアーカイヴを作成し、作品の音楽史的、芸術的価値を可視化、共有化する。
③リサーチを基にピアノ管理指針を作成、共有化する。

●1年目の活動
①ワークショップ:
・特殊奏法の基礎の紹介とレクチャー。
②リサーチ:
・文献研究による特殊奏法作品のリサーチ。
・ピアノメーカー、ホール関係者、アーティストに対する特殊奏法の現状についての予備調査。

●2年目の活動
①ワークショップ(1年目からの継続):
・特殊奏法の基礎の紹介とレクチャー。
②リサーチ(1年目からの継続):
・特殊奏法作品のアーカイヴ構築にむけての作業。
・国内ホール及び調律師へのピアノ特殊奏法実施についてのアンケート調査を実施。諸外国における特殊奏法実施に関する現状調査。(ピアノ管理指標提言の準備)
・公開イベント「作曲家座談会○ピアノ奏法の拡張について考える」。

●3年目の活動計画
①ワークショップ部門
・ピアノ特殊奏法ワークショップ応用編「アンサンブル・その他」の実施。(1年目からの継続)
・特殊奏法作品の創作及び実演のプロセスにおける検証 「特殊奏法の新作委嘱、コンサートの実施」。
②リサーチ部門
・ピアノによる特殊奏法作品の音楽学的リサーチ。(1年目からの継続)
・ホールリサーチ部門(メンバー7名)を組織し、研究会(非公開)と座談会(公開:対象はホールの運営に携わる人たち)を実施するとともに、「劇場・音楽ホール等におけるピアノ特殊奏法の実施状況に関するアンケート調査」について学会での発表を行う。

●4年目(最終年)の活動計画
①3年間の拡張されたピアノ奏法の音楽学的リサーチの成果を一般に向けて公開する。
・リサーチの成果を発表するシンポジウムの開催。
・ピアノ特殊奏法作品アーカイヴを両国門天ホールのホームページ上に公開する。
②「ホールにおけるピアノ管理指標」の提言:
・「ホールにおけるピアノ管理指標(ガイドライン)」を作成し、冊子として印刷。アンケート調査の協力施設や関係諸機関に送付する。(このピアノ管理指標は両国門天ホールのウェブサイトからダウンロードできるようにする。)

プロフィール

【一般社団法人もんてん】
両国門天ホール(50席、2013年開設)を運営する団体。「伝統と現代」という二極を行き来しながら、様々な音楽やパフォーマンスを意欲的に紹介し上演している。常に実験的なイベントが開催され、新たな文化を生み出している。

【井上郷子】
東京学芸大学大学院作曲科修了。「ムジカ・プラクティカ・アンサンブル」のメンバーを経て、1991年よりソロ活動。国内外で多くのリサイタルを行ない、特に、近藤譲やモートン・フェルドマン作品の演奏で高い評価を受ける。ソロアルバムとして HatHut Records(スイス)等より6タイトルが出版。第10回佐治敬三賞受賞。国立音楽大学教授。

お問い合わせ

〒130-0026 東京都墨田区両国1-3-9 ムラサワビル1-1F
一般社団法人もんてん
代表理事
黒崎八重子
TEL: 03-6666-9491
FAX: 03-6666-9491
e-mail: contact@monten.jp