2016年に発生した津久井やまゆり園事件を題材とした新作の上演を行った。
事件の犯人が依って立つものである能力主義をいかに私たちが乗り越えられるかという問いを主題とし、「私たちはともに生きることができる」という感覚を共有することを目指して制作された。
9月の上演に向けて、5・6月に全3回のリサーチ発表を実施して作品制作に向けたオープンな議論を行った。書籍によるリサーチや実際の障害者施設での取材だけでなく、出演者にも身体障害・知的障害のある俳優を1名ずつ起用した。リサーチ発表終了後も、上演に向けてこの作品が目指すところについてのステートメントや演出メモ、対談記事の発表などを行い、作品外でも上演に向けた観客の意識形成を行った。また、劇場での上演には観客との対話・観客間での対話の時間を必ずセットで設け、公演終了後も質問や意見を受け付けてインターネット上で応答を行った。
【人間の条件】
2019年、東京大学在学中にZRによって立ち上げられた演劇団体。「それなしには人間が生きていくことのできないもの」をコンセプトに、簡潔で切実なドラマを動的な身体によって描く。近年は、古典作品の現代的解釈にもとづき、演劇だけでなくダンスなどの要素も取り込みながら新しい身体のドラマの構築を目指している。近作では多様な人々の身体のあり方に鑑みて、舞台作品における身体の強度という概念を見つめなおす作品を制作している。
合同会社人間の条件
業務執行社員
中村光汰
zr.thc.theater@gmail.com
中野テルプシコール(東京都中野区)
※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。