日本古来よりある歌舞に、近隣諸外国から伝来してきた音楽とが融合し、1200年以上伝承され続けてきた伝統芸能「雅楽」。我々はその伝統を正しく受け継ぐ一方、現代の感覚や新たな奏法を取り入れた新作に挑戦し、これまでにない可能性を模索・発見し、雅楽の発展に貢献する。本事業では演奏家としての企画力を養うことも目的としており、雅楽に深く通じる方でも、初めて雅楽に触れる方でも楽しめるような構成とした。古典では『喜春楽（きしゅんらく）』という格式高い名曲を選曲し、序の無拍節からなる独特の旋律と、破のゆったりとした拍節からなる曲調を聴いて頂く。現代曲では芝祐靖氏による古典調の龍笛ソロ作品『月華紋』と篳篥と琵琶による『草庵の諧』、新作では当会メンバーである五月女愛の新作『雨ノモリ』と、雅楽楽器個々の魅力を十分に引き出せる作曲家高橋久美子氏に委嘱し『采-SAI-』を演奏。古典調と現代調との対比を感じ取って頂く。