本事業は短編映画『三渓の影』(監督:佐々木美佳、制作:ショナル・パキ)の制作を通じて、横浜・本牧の三渓園の歴史を探ることを試みた。ノーベル文学賞詩人のラビンドラナート・タゴールが三渓園で詠んだ詩『迷い鳥たち』に導かれるようにして、一人の女性(出演:みやべ ほの)が三渓園を巡る。園内に眠る過去と現在が交差するドキュメンタリー・フィクション作品が本プロジェクトで完成した。
音楽は足立美緒、録音は紫藤佑哉が担当し、三渓園の今と昔と女性の内声を想起させる音環境を構築した。黒井岬(民鳥舎)による衣装によって、大正時代頃に来園していた女性の姿を、絣の着物と和傘で再構築された。スチール撮影はドキュメンタリー写真の表現を得意とする矢部真太が担当した。
映像作品と同時にリサーチの記録となるようなパンフレットZINEを制作した。絹糸で閉じられた手製本のZINEは、鈴木萌(バニヤンブックス)がデザインを、中岡祐介(三輪舎)が編集を担当し、パンフレットが三渓園の歴史が感じとれる印刷物となった。
【佐々木美佳】
映画監督・文筆家。福井県生まれ、東京外国語大学にてヒンディー語とベンガル語を学ぶ。うたわれる言葉を映像で解釈・翻訳することで、日本と南アジアを繋ぐ作品制作に取り組む。ベンガル地方の詩人ラビンドラナート・タゴールの歌をテーマにしたドキュメンタリー映画『タゴール・ソングス』を監督。全国の映画館で公開され、2022年ダッカ国際映画祭に出品された。
佐々木美佳(ショナル・パキ)
sonarpakhi.mikasasaki@gmail.com
キノコヤ(東京都多摩市)
※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。