ユートピアは資本主義に対するオルタナティブな共同体を提案していた。そこは平等で、清潔で、犯罪もない、完成された場所だった。戦後の住宅不足を補うために日本に計画された多摩ニュータウンもまたユートピアを目指してつくられた。住民に行き渡るよう設計された広々とした公園、ステンレスでつくられたキッチン、車を気にせず歩ける道が設計された。
しかし開始当初、多摩ニュータウンは駅などのインフラ不足に加え、文化施設や子育ての場の不足など地域や社会の課題も多く抱えていた。男性は日中働きにでて、女性たちがそこに残された。彼女達はニュータウンでテーブルを囲み居場所をつくり、足りていなかったインフラを補い合い、諸課題をコミュニティによって解消していた。ユートピアの欠乏を埋めるための彼女達の活動は、いわばもうひとつのユートピアを生み出していた。
今、ユートピアはどのように存在できるのだろう。本展ではアーティスト、研究者たちが多摩ニュータウンを見つめ、共有する場をつくる。
キュレーション
部屋
アーティスト
黑田菜月
下山健太郎
須崎文代
印牧岳彦
雨宮牧穂
井上岳
清原惟
【部屋】
雨宮牧穂、井上岳、清原惟からなるコレクティブ。家具、建築、映像の立場から場所のリサーチと展示を行う。
THE 5TH FLOOR(東京都台東区)
※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。