近年、舞踏の創始者土方巽の舞踏譜への関心が高まっているが、「舞踏」の創造期の調査はまだ十分ではない。本事業では、近年発見されたダンス・舞踏の貴重な資料を整備・調査し、1960年頃のダンスと土方巽の舞踏の研究に資することを目指した。
1958年の土方巽の出演作品「ハンチキキ」の手稿譜を発見した。『ハンチキキ』は、公演パンフレットと数枚の公演写真のほかは資料がないだけに、音楽は作品内容を知る貴重な資料となる。当初はピアノと管楽器の演奏を考えたが、編曲者の強い意向で、ピアノ、バイオリン、打楽器、バリトン、朗読による復元演奏となった。アイヌの地を舞台とする作品の力強さと愉しさが溢れる音楽である。
ついで幻の雑誌とされてきた舞踊批評・研究誌『20世紀舞踊』(1960年発行の1号〜3号)を発掘できた。本誌の1960年に発行された1号から5号(ガリ版刷り)をもれなく打ち直して新修版として編集・刊行した。土方巽の文章を含む、1960年のダンスと現代音楽の前衛が一冊に収まり、日本のダンス研究に不可欠の資料となった。また、土方巽の公演音楽ほかのオープンリール(10本)のデジタル化を実施した。
【特定非営利活動法人舞踏創造資源】
舞踏創造資源は、慶應義塾大学アート・センターに設置されている土方巽アーカイヴと連携して、舞踏の創始者である土方巽の舞踏資料を収集・保存し、公開する活動を担ってきた。さらに、その舞踏資料をもとに、土方巽の舞踏を調査、研究して、その成果を広く伝える活動を行なっている。また、舞踏をめぐる展示やシンポジウ、ワークショップや舞踏公演を企画、制作して、舞踏の普及に努めている。
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NPO法人舞踏創造資源
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森下隆
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慶応大学三田キャンパス北館ホール
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