今期は東京芸術文化創造発信助成の単年助成に128件の申請があり、アーツカウンシル東京での厳正な審査の結果、58件を採択いたしました(採択率45.3%)。助成予定総額は65,633千円です。
≪音楽分野≫
◆申請件数(採択件数): 18(9)
内訳:都内での芸術創造活動15(6)
国際的な芸術交流活動3(3)
芸術創造環境の向上に資する活動0(0)
◆採択率:50.0%
音楽分野は、活動成熟・トップ期の団体からの申請が大幅に増加しています。第1期に引き続き、都内での芸術創造活動が申請総数の大半を占め、現代音楽やJazz、合唱音楽等、ジャンルやテーマを絞った創意に富むフェスティバル企画の申請が目立ちました。全般的に従来の活動に継続的に取り組む傾向が強く、新たな発想を活かし新規の企画に挑戦する事業の申請にも期待します。
《演劇分野》
◆申請件数(採択件数): 43(19)
内訳:都内での芸術創造活動31(12)
国際的な芸術交流活動12(7)
芸術創造環境の向上に資する活動0(0)
◆採択率:44.2%
43件の申請のうち約4割が初申請です。活動ステージ別では、約8割が活動基盤形成期及び活動拡大・発展期にあたる団体からの申請で、新たな挑戦や追求し続けたテーマを大成・発展させるような意欲的な事業がいくつも見られました。そのため、採択事業の約9割が活動基盤形成期及び活動拡大・発展期の団体となっています。全体の傾向としては、団体や国の枠を超えアーティスト同士が主体的に行う共同制作が増加しています。
≪舞踊分野≫
◆申請件数(採択件数): 22(10)
内訳:都内での芸術創造活動10(2)
国際的な芸術交流活動10(7)
芸術創造環境の向上に資する活動2(1)
◆採択率:45.5%
今期は申請件数が増加し、特に国際芸術交流活動で海外の劇場やフェスティバルからの招聘を受けた公演や、これまで継続して関係を築いてきた海外のアーティストとの交流を発展させた事業など、充実した内容の申請が多く見られました。活動ステージ別では活動基盤形成期にある団体の申請が減少しているため、世代や舞踊のジャンルを超えて舞踊分野全体の活性化につながるものを中心に採択しました。今後は若手を中心に、新たな視点を提示して舞踊分野の発展の起爆剤となるような申請を期待します。
≪美術・映像分野≫
◆申請件数(採択件数): 15(6)
内訳:都内での芸術創造活動9(3)
国際的な芸術交流活動6(3)
芸術創造環境の向上に資する活動0(0)
◆採択率:40.0%
申請内容は絵画、写真、映像、映画、メディアアート、インスタレーション、パフォーマンスなどの様々な表現をメインに、ワークショップやシンポジウム等が組み合わされた展開が多く見られました。活動ステージ別では、活動基盤形成及び活動拡大・発展期が50%以上を占め、そのうち約半数を革新性や将来性、適時性の観点で評価し採択としました。また分野の活性化や若手作家の活動支援など、芸術創造環境向上に資する活動も多く、今後の分野への影響力を考慮し採択いたしました。
《伝統芸能分野》
◆申請件数(採択件数): 21(10)
内訳:都内での芸術創造活動13(7)
国際的な芸術交流活動6(2)
芸術創造環境の向上に資する活動2(1)
◆採択率:47.6%
申請種目は、雅楽、能、三曲、尺八、邦楽囃子、義太夫、日本舞踊、花街のおどり、和太鼓、津軽三味線、現代邦楽、創作邦楽など多岐にわたるものでした。申請件数の半数以上が初申請で、その約4割が採択となっています。審査基準の「継承性」の面で優れた事業が多く、高い採択率になりました。すでに実績を積んだ実演家による新たな波及力を目指す意欲的な取り組みが目立ちました。個人申請は5件で、毎回の公募とほぼ同数でした。
≪複合≫
◆申請件数(採択件数): 9(4)
内訳:都内での芸術創造活動3(2)
国際的な芸術交流活動6(2)
芸術創造環境の向上に資する活動0(0)
◆採択率:44.4%
複合分野(核となる分野を特定できない活動)は、9件の申請があり4件が採択となっています。申請のほとんどが国際フェスティバルや国際的な創造交流を含むものであり、内容も演劇やパフォーマンス、映像メディア、サウンド、能楽、紙芝居、影絵、人形、仮面劇など幅広いことが特徴的です。芸術とテクノロジーの結合から生まれる複数ジャンルを横断した創作実践や、伝統芸能の現代的な価値を海外の芸術家や現代の創造の観点から照らし出そうとする企画など、国際的かつ現代的な視野をもった優れた企画が多く、今後の展開が期待されます。