静岡県遠州地方に江戸時代より続く盆行事「遠州大念仏」のリサーチを経て、新たに制作した立体・映像をFab Cafe Tokyoというカフェ空間に展開した。「遠州大念仏」は多くの場合、初盆を迎える民家の「庭先」で実施される。「庭先」とは、そこに住む人にとっては非常にプライベートな位置にありながらも、外と内や公と私などの状況が交差し合う特殊な場である。そして、「遠州大念仏」における「庭先」は、此岸と彼岸をつなぐ場として、きわめて重要な役割を担っていると感じた。これを踏まえ、本事業により実施する展覧会では、ギャラリーなどのホワイトキューブな空間ではなく、カフェという比較的、日常と地続きであり、外と内や公と私などの状況が交差し合う「庭先」と近しい空間で実施することとした。この展覧会では、映像作品1点と立体作品6点を新たに制作・配置し、自らが探求し続けてきた「変身」における素材と造形の関係を、「庭先」というキーワードから改めて探る試みとなった。
【鷲見友佑】
1996年静岡県生まれ。幼い頃からの強い変身願望を原動力に、立体や映像の制作、テキストの執筆などを行い、自らが生きる時代の「変身」の可能性を模索している。主な展覧会に、「CONTENA」(TAV GALLERY、2023年)など。主なテキストに「着用と梱包ー自作《CONTENA》を起点に」(美史研ジャーナル18号、2023年)、「疾走する変身願望ー仮面ライダーとファッションー」(Fashion Tech News、2023年)など。音楽ジャケットの制作や、ファッションブランドとのコラボレーション、空間設計やワークショップなども行う。公益財団法人クマ財団 5期奨学生(2021年)、ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2022 野口玲一賞(2022年)。
鷲見友佑
yusukewashimi0705@gmail.com
FabCafe Tokyo(東京都渋谷区)
※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。