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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。

2016/10/17

東京駅前で開催された大友良英監修の参加型音楽フェス「アンサンブルズ東京」- 音楽はアーティストと参加者の垣根を越える!-

2016年9月4日(日)。厳しい残暑の中、多くの人々が、東京駅前丸の内側に集まりました。アーツカウンシル東京が主催する「アンサンブルズ東京」は、東京の魅力を発信する参加型の音楽フェスティバル。様々な人が行き交う東京駅前で、老若男女による演奏が披露されました。

大友良英監修の「アンサンブルズ東京」とは

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「アンサンブルズ東京」は、音楽家・大友良英氏がディレクションを務める音楽イベント。事前に募った参加者とアーティストがワークショップを行い、フェス当日に演奏を行います。ワークショップは、プロ・アマ問わず、音楽好きから子供連れの家族まで参加していました。

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芸術監督の大友良英氏

会場を彩るのは、プロジェクトFUKUSHIMA!による、手作りの大風呂敷たち。このプロジェクトは、東日本大震災後に大友氏をはじめ美術家の中崎透氏やアサノコウタ氏らが中心となり、地元の方々と風呂敷のパッチワークを作ったのが始まりです。

今回のアンサンブルズ東京でも、誰でも参加可能な大風呂敷作りのワークショップを開催し、当日も布を持ち込んで縫い合わせている方々がいました。

アーティストと参加者の垣根を極限まで下げた「アンサンブルズ東京」。今回は、どんな音楽が演奏されたのでしょうか。

芳垣安洋とOrquesta Nudge! Nudge!(オルケスタ ナッジ!ナッジ!)「リズム・アンサンブル・ワークショップ」

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オープニングは打楽器演奏者の芳垣安洋氏とOrquesta Nudge! Nudge!によるパレードとステージパフォーマンスから始まりました。

ギターやトランペットといった楽器や、会場で行っていた子供向け楽器作り体験で作ったバケツや竹筒などを用いた楽器を、思い思いに手にした人々が演奏をしながら練り歩きます。

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ステージに上がると、ワークショップ参加者による演奏がスタート。マラカスやギター、ボイスパーカッション、タップダンスや鳴子、ほら貝などによる、サンバのような賑やかな演奏に、観客も思わずリズムを取ります。

ワークショップで音合わせはしていますが、当日の演奏はすべてアドリブで、知らされているのは芳垣さんのサインのみ。合図を出された人が、その場でソロパートを演奏する場面もありました。

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唯一の小学生の参加者だった男の子もソロパートを演奏

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タップダンスでリズミカルな踊りを披露したお二人

トクマルシューゴ「子供による楽器と大人による非楽器のシンフォニー」

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2組目は、音楽家・トクマルシューゴ氏と作り上げる「子供による楽器と大人による非楽器のシンフォニー」です。

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子供たちは好きな楽器を、大人はふだんの生活で使っているものを持ち寄って演奏。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい音色が、夕暮れどきの東京駅前で奏でられました。

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ご家族で参加されたこちらの方々は、娘さんたちは鍵盤ハーモニカとマラカスを、自転車が好きな旦那さんは自転車のホイルを、奥さんはサザエを入れた手作りマラカスで演奏しました。

日差しが和らいできた頃には、大風呂敷に入りきらないほどの人々が。ゆったりとした雰囲気の中、音楽に耳を傾けていました。

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フレッド・フリス「この瞬間は同じではない」

子供たちによる自由な演奏の後は、特殊音楽の大御所であるフレッド・フリス氏率いる大人たちによるアンサンブルです。

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「アンサンブルズ東京」のためだけに来日したというフリス氏。ワークショップのタイトル通り、フリス氏の指揮に合わせ、アドリブで音を重ねて音楽を作り上げます。

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当日は、宮城県から参加されたという女性も。本番の緊張感が心地よく、今までで最高の演奏ができたとのことでした。

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演奏中、参加者同士でアドリブを振り合うという一幕も。演奏者も観客も、スリリングな音のキャッチボールを楽しみました。

いしいしんじと原田郁子「東京駅のうた」

最後は、作家のいしいしんじ氏とアーティストの原田郁子氏、そしてワークショップ参加者による「東京駅のうた」の大合唱です。

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原田氏によるピアノに合わせて、みんなで歌う

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いしいしんじ氏

「東京駅」と聞いて思い浮かべるフレーズを、歌詞にのせて歌ったり、一言ずつ「今、東京駅。」というセリフの後に続けて朗読したりします。小さな子供から50代くらいの方々まで参加したワークショップを経て、一曲を作り上げました。

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こちらは一家総出で参加されていた仙台在住のご家族。東京という街への憧れを歌詞に乗せて歌いました。

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時にポップ、時にちょっぴり切ない旋律に乗せて歌われた、東京駅にまつわるフレーズたち。自分にとっての東京駅のイメージを考えた方も多かったのではないでしょうか。

参加者とアーティストによる手作りのフェス「アンサンブルズ東京」

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「アンサンブルズ東京」は、アーティストと参加者という枠を取り払い、都内以外に住んでいる方々も多く参加していました。さらに、全プログラムの終了後も、大友氏の呼びかけで、大風呂敷の片付けに残る人々もいました。

会場準備からフェス終了まで、手作りで行われた「アンサンブルズ東京」。音楽を通してつながった人々による一期一会の演奏が、東京駅前に響き渡った一日となりました。


「アンサンブルズ東京」概要

  • 開催日:2016年9月4日(日)
  • 会場:行幸通り(東京駅前丸の内側)
  • 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、アンサンブルズ東京実行委員会【一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、特定非営利活動法人大丸有エリアマネジメント協会、ピースリーマネジメント有限会社】
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/13169/

写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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