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アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。

2018/11/19

秋空の下、初心者も子供もお茶を楽しむ「東京大茶会2018」

2008年から始まった「東京大茶会」。11回目となる「東京大茶会2018」が、江戸東京たてもの園と浜離宮恩賜庭園の2会場で、計4日間にわたって開催されました。
そのなかから、2018年10月13日(土)に行われた江戸東京たてもの園での様子をお伝えします。

江戸東京たてもの園は、江戸時代から昭和中期までの歴史的建造物が建ち並ぶ野外博物館。展示物である趣あふれる建物の中やその周辺で、さまざまな茶道の体験プログラムが行われました。
このイベントの魅力は、初心者も気軽に楽しめること。園内を巡り、タイムスリップしたような気分を楽しみながら、予約なしで参加できるプログラムが多く用意されています。

取材チームがまず訪れたのは吉野家での「茶道はじめて体験」。
参加者同士でペアになり、先生に教えてもらいながらパートナーのお茶を点て合うことを通して茶道の基本を学びます。
茶道に触れるのは初めてという人が多く、参加者たちは和気あいあいとした雰囲気でお菓子とお茶を楽しんでいました。

江戸時代中期の茅葺きの民家・綱島家では、「WELCOME!英語で楽しむ茶席」が行われていました。

茶道を通して日本文化に触れてもらう、主に外国人向けのプログラムで、英語での解説つき。参加者たちは茶器や茶席の流れ、作法の解説に熱心に耳を傾け、おごそかな雰囲気に浸っているようでした。

次に見学したのは、八王子千人同心組頭の家での「子供のための茶道教室」です。
小学生以下の子供たちとその保護者が参加し、作法を楽しく学びながら茶席を体験。床の間に飾られていた花などについても説明してもらい、最初は緊張気味だった子供たちも、徐々に興味津々な表情に変わっていきます。

小さな手で茶碗をもち、初めての抹茶を味わう子供たち。大人な味にドキドキしている様子が印象的です。
最後は先生のもとに集まって、茶席で使う道具の説明を聞きます。今まで触れたことのないさまざまな道具に、みんな見入っていました。

東京大茶会では、茶道のほかに伝統芸能などのパフォーマンスも行われます。
さらに、園内にある昭和初期の銭湯を移築した建物「子宝湯」のなかでは、「Music Program TOKYO」のまちなかコンサート 芸術の秋、音楽さんぽ(主催:東京都、東京文化会館・アーツカウンシル東京)が同日開催されました。

取材チームが鑑賞したのは弦楽四重奏。誰もが知るクラシックの名曲や、坂本九メドレーなどが披露されました。
コンサートホールとはひと味違う空間での演奏会は、肩肘を張らずに音楽を楽しむ心地よい時間になりました。

その後に訪れたのは、伊達家の門前の屋外でお茶を楽しむ「野点(のだて)」です。

流れについて簡単に説明を受けてから、床机に座った参加者たちのもとにお菓子が配られました。茶道では、お茶をいただく前にお菓子を食べ終えるのが作法です。

お菓子の後にはお茶が出されました。茶碗はそれぞれ違い、伝統的なものもあれば、現代的でユニークな柄が描かれたものも。道具の趣を味わうのも茶道の楽しみのひとつです。

高橋是清の邸宅として使われていた建物に、なにやら列ができていました。
ここでは、事前申込制の本格的な茶席が催されます。

このプログラムは経験者も多い印象。とはいえ、堅苦しい雰囲気ではなく、雑談も交えながら和やかに茶席は進んでいきました。

初心者も、子供も大人も、分け隔てなくお茶を体験できる東京大茶会。
江戸東京たてもの園の歴史的建造物を楽しみながら秋空の下で日本文化を堪能し、気持ちが穏やかになった1日でした。


東京大茶会2018

撮影:鈴木穣蔵
取材・文:平林理奈

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