アーツカウンシル東京の事業

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各地の伝承・生活文化を横断し、身体性を未来へと拓く国際共同制作
─ 東南・南・中央アジア、アイルランド、日本─

東京芸術文化創造発信助成【長期助成】活動報告会 第16回

アーツカウンシル東京では平成25(2013)年度より長期的な活動に対して最長3年間助成するプログラム「東京芸術文化創造発信助成【長期助成】」を実施しています。この度、助成対象活動報告会の第16回として、各3年間ずつ助成したオフィスアルブの国際共同制作プロジェクト、平成27(2015)年度「Cross Transit」と令和2(2020)年度「Echoes of Calling」をご紹介いたします。 

オフィスアルブは2つの助成対象事業において、東南・南・中央アジア、アイルランドに滞在し、古典舞踊、音楽、武術等からその国々の芸術・文化・歴史のリサーチを重ね、現地のアーティストとの共同制作を実施。各国の社会的背景や文化的視点から、舞踊芸術の身体表現を拡張する作品創造に取り組みました。

「Cross Transit」では、カンボジア、ミャンマー、タイ、インドネシア、インドに滞在し、リサーチの過程で出会ったカンボジアの古典舞踊家、コンテンポラリーダンサー、映像作家、インドの音楽家と作品制作に取り組み、広域なアジアのさまざまなジャンルのアーティストと関係性を構築。2018年の最終年には、インドネシアのダンサーも加わり、3年間の共同制作作品の集大成として示しました。

「Echoes of Calling」では、さらに対象国をウズベキスタンとアイルランドに展開し、その土地の生活に根付いた文化の担い手との対話・協働により作品を立ち上げるプロジェクトに取り組みました。ウズベキスタンの吟遊詩人バフシや、アイルランドの伝統歌唱シャン・ノース、そしてアニミズム、シャーマニズムなど消えゆく口頭伝承の祈祷や歌舞などをリサーチ。異文化にダンスを介して対峙することで、伝承文化と現代性のあるテーマや表現手法が交わる国際共同制作の在り方を拡張しました。

報告会では、2つの国際共同制作の独創的なリサーチ活動や、クリエーション過程、その成果やプロジェクトの発展についてお話しいただきます。


登壇団体
オフィスアルブ

登壇者
北村明子(ダンサー・振付家、オフィスアルブ主宰)
林慶一(制作)

手話通訳 
加藤裕子
丸山垂穂

司会進行 
水野立子(活動支援部助成課 シニア・プログラムオフィサー)


※本報告会は主催者の広報及び記録目的に写真・動画・音声の収録を行い、後日アーツカウンシル東京のウェブサイト等でレポート記事として公開します。予めご了承ください。
※手話通訳・UDトークによる情報保障があります。

助成対象事業の概要

■「Cross Transit」【平成27(2015)年度から3年間】

欧米で発展したダンスのテクニックや手法とアジアの伝統舞踊・芸能、身体技法。そのどちらの枠組にもあてはめることができない身体表現を探求する。リサーチ対象を歴史や文化テクストまで広げ、社会や芸術領域において異なる背景を持つアーティストが、共にクリエーションを行った。

1年目

  • シェムリアップ、プノンペン、コンポンスプー、バッタンバン、他(カンボジア)、ヤンゴン、マンダレー、タウンビョン、他(ミャンマー)、コルカタ、マニプール(インド)でのリサーチ
  • 共同制作を行うアジアの音楽家、映像作家、ダンサーを決定
  • 日本人ダンサーとクリエーション開始

    
2年目

  • プノンペンからダンサーと写真家を招聘しクリエーション
  • マニプールでフィールドリサーチ、現地音楽家と作曲開始
  • プノンペン、マニプールの写真家、ダンサー、音楽家を日本に招聘し東京でクリエーションと公演「Cross Transit」

3年目

  • マニプールから音楽家、プノンペンから写真家、ダンサーを招聘し、佐渡、東京でクリエーションとプレゼンテーション
  • チェンマイ(タイ)、ジョグジャカルタ、及びパダンパンジャン(インドネシア)で、武術と音楽のリサーチ、クリエーション
  • プノンペンでのクリエーション、公演 「voxsoil」
  • 東京でのクリエーション、公演「voxsoil」

■「Echoes of Calling」【令和2(2020)年度から3年間】

ケルトの伝承文化や日本に古代から伝わる祭事の歌舞が、いかに人々の記憶に働きかけるのか。表現形式や文化、国籍、言語などの違いを超えた伝統と現代との関わりはいかに可能か。それぞれの土地に根付く生活文化、身体に宿る伝統が出会い、対話し、共存し、変容する様をダンス作品で描いた。
※1年目と2年目は、コロナ禍により渡航が困難な状況であったため、主にオンラインで実施した。

1年目

  • アイルランドの音楽家とドラマトゥルクと、オンラインによるミーティング、クリエーションを開始
  • アイルランドより音楽家2名を招聘しクリエーションと公演「Echoes of Calling」(無観客で劇場動画収録、オンライン配信)

   
2年目

  • モンゴルとウズベキスタンについて、研究者・専門家によるオンラインレクチャー
  • 中央アジアのアーティストとオンラインでのリサーチ
  • アイルランドよりダンサー、音楽家を日本に招聘し東京でクリエーションと公演「Echoes of Calling -Gushland-」(プロジェクト2作品目)

3年目

  • ウズベキスタン/アイルランドツアー、ワークショップと公演「Echoes of Calling」
  • 日本公演「Echoes of Calling-rainbow after-」(プロジェクト3作品目)

   
【事業紹介ページ】
平成27(2015)年度「Cross Transit」はこちら
令和2(2020)年度「Echoes of Calling」はこちら

プログラム内容(予定)

18:45 開場

19:00 長期助成及び対象活動の説明
19:05 【第1部】
    ・本助成対象事業を実施するに至った背景と意図
    ・本事業の国際共同制作についての理念と方法論
    ・事業内容の紹介: 「Cross Transit」 ─ 身体に託された土地の記憶<メディアとしての身体>

    休憩

20:10 【第2部】
    ・事業内容の紹介:「Echoes of Calling」 ― 現代共同体における“祈り”や口頭伝承からのインスピレーション
    ・その後の展開

20:45 質疑応答
21:00 終了

登壇団体・登壇者プロフィール

 ©Hiroyasu Daid
オフィスアルブ
2010年北村明子を中心に設立。国際共同制作プロジェクトの実績として「To Belong」(2011年~2014年)、「Cross Transit project」(2015年~2019年)、「Echoes of Calling project」(2019年~2023年)がある。また、2023年春、新たに「Xstream project」が始動。11月に第一弾公演「Soul Hunter」を上演。
Office ALB 北村明子 WebSite

 ©Hiroyasu Daid
北村明子(きたむらあきこ)
ダンサー・振付家。早稲田大学大学院文学研究科在学中の1994年ダンス・カンパニー、レニ・バッソ主宰(〜2009年)。2010年よりオフィスアルブを創設し、リサーチとクリエーションを行う国際共同制作プロジェクトを展開。これまでにインドネシアとの国際共同制作、東南~南アジア国際共同制作を行い、国内外で上演。


林慶一(はやしけいいち)
制作者。2006年より小劇場die pratzeにスタッフとして参加。2012年より「ダンスがみたい!」実行委員会代表。同年、d-倉庫 制作。2019年「放課後ダイバーシティ・ダンス」プロデューサー。2022年よりフリーランスに転向。

定員

40名(事前申込制/先着順)

料金

無料

申込方法

こちらのフォームより必要情報を記入の上、お申込みください。

申込締切
2023年12月11日(月)14:00

※定員になり次第受付を終了いたします。
※お寄せいただいた個人情報は厳重に保管し、本報告会に関わるご案内のみに使用いたします。
※内容が変更になる場合があります。予めご了承ください。

お問い合わせ

「長期助成活動報告会」運営担当(合同会社syuz’gen)
E-mail:act_tj@syuzgen.com
FAX:03-4333-0878

開催場所

アーツカウンシル東京 5階会議室
(東京都千代田区九段北4丁目1-28 九段ファーストプレイス5階)

チラシ

クレジット

主催
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
運営
合同会社syuz'gen