「バリアフリー」は障害のある人が不自由だと感じている社会環境を改善し、障害のある人も健常な人も生活を効率よく過ごせるユニヴァーサルな社会を実現させるものであるが、そこでの問題は、健常者と障害者が依然として前提されていることにあり、障害のある人が健常者の社会に合わせる形になっている点にある。2015年2月にアサヒ・アートスクエアにて、アーティストの大崎晴地が立ち上げた「《障害の家》Barrier House Project」は、逆に「障害」や「バリア」のある生活の方が健常者よりも豊かで多様であることを検証し、建築家・笠島俊一との協働をとおして実際の「家」を建てるプロジェクトである。
【大崎 晴地】
1981年東京都生まれ。2014年、東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。臨床現場で研究活動を行いながら、心と身体、発達のリハビリテーション、病理をテーマに作品を制作している。「エアートンネル」(2013)は、児童福祉施設などで発達や療育のための道具としても活用し、新しい体験と行為を通じた創造性を検証している。
3331アーツ千代田(東京都千代田区)