2014年に始まり今年4回目を迎える「FAST FORWARD FESTIVAL」は、公的空間における現代芸術にスポットを当てる。芸術を通じて市民と都市空間との新たな結びつきを探るフェスティバルであり、過去3回で2万人以上の観客を集めている。今回のフェスティバルにおけるテーマは、社会的および政治的な領域で土地や故郷を失った人や社会の不安定性について。アテネ中心部から20分ほどにある港町ピレウスを拠点として、同じく同フェスティバルに参加するPort Bによる「ピレウス/ヘテロトピア」に呼応する形で、今回は、新作の映像作品「ヘテロクロノス」を制作する。現地からの依頼を受け、フェスティバルのテーマに沿った作品制作のため、リサーチを経て、現地に生きる人々(難民や、歴史学者、 船長や労働者など)のインタビューを行い、それを撮影し、作品としてアテネ市内のカフェおよび港にある船の博物館(SS Hellas Liberty)で展示を行う。
【藤井光】
芸術は社会と歴史と密接に関わりを持って生成されているという考え方のもと、既存の制度や枠組みに対する問いを、綿密なリサーチやフィールドワークを通じて実証的に検証し、実在する空間や同時代の社会問題に応答する作品を映像インスタレーションとして制作している。また、ドキュメンタリー映画としては「プロジェクト FUKUSHIMA!」(2011)、「ASAHIZA 人間は、どこへ行く」(2013)を監督、両作品ともに、国内外で映画祭をはじめとし、上映を多数行っている。
ジャネイロカフェ(オモニア広場、アテネ)
ヘラスリバティ船の博物館(ピレウス)
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