「バリアフリー」は障害のある人が不自由だと感じている社会環境を改善し、誰でも生活を効率よく過ごせるユニヴァーサルな社会を実現させるものであるが、そこでの問題は、健常者と障害者が依然として前提されていることにあり、障害のある人が多数者の社会に合わせる形になっている点にある。
たとえば、自閉症スペクトラムでは、通常とは異なる発達プロセスによって、別の思考や能力を発揮するケースが知られている。「障害の家」プロジェクトは、こうした一見ネガティブに捉えられる違い(障害)から生じる豊かさに注目し、様々な負荷のかかった状態を問いなおすために、家そのものに障害やバリア、出来事を設える。それは障害のある人の現実に近づくことであり、誰もが使える均質な空間に対して、個別の生活空間のオルタナティブを検証することだ。建築と人間の「障害」から再考を促し、既成の家を改装することで、日常の中における建築と生活のフォームを提案する。
【《障害の家》プロジェクト】
2015年2月にアサヒ・アートスクエアにて、アーティストの大崎晴地が立ち上げた《障害の家》プロジェクト(Barrier House Project)は、「障害」や「バリア」のある生活の方が健常者よりも豊かで多様であることを検証し、建築家・笠島俊一との協働をとおして、実際の「家」の実現に向けたプロジェクトである。2017年3月、千住たこテラスにて、家屋を使った一回目の発表を開催している。
「障害の家」プロジェクト実行委員会
TEL:090-8110-6221
e-mail:barrierhouseproject2018@gmail.com
京島長屋(東京都墨田区京島3丁目62-6)
※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。