「仮想通貨奉納祭」は「神事のアップデート」を目的に、世界中から仮想通貨を集め、集まった仮想通貨を「土地の豊穣」のために再分配する、新たな祝祭を作るプロジェクト。容易に時空間を超えて資金移動できる仮想通貨の特性を利用し、祭りという風習の本質である市民参加性を、テクノロジーで拡張することを意図した。「仮想通貨奉納祭」は東京の商店街で実際に開催され、市民達の協力のもと行われた。作家のビジョンに共感した市民、企業、自治体、多様な分野で活躍する専門家や起業家、研究者たちが様々なリソースや技術を「奉納」。アニマトロニクス技術を利用した妖怪ロボット、発酵デザイナー・小倉ヒラク氏による「奇酒」、「株式会社わたしは」のAIが音声合成した般若心経、「ニコス・オーケストラボ」による電磁祭り囃子など、多くのコラボレーションが生まれた。市民や参加者も思い思いの作品や楽器や仮装衣装を持ち込み、楽しんだ。祝祭では2日間で約16,000名の来場者が商店街に集合。多様な属性の、地域住民を含む老若男女が「仮想通貨神輿パレード」に参加した。
【市原えつこ】
メディアアーティスト、妄想インベンター。早稲田大学文化構想学部卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性と日本文化に対する独特のデザインから、世界中の多様なメディアに取り上げられている。
第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞、総務省異能vation採択。2018年にアルスエレクトロニカInteractive Art+部門で栄誉賞を受賞、EUより贈られる科学芸術賞「STARTS PRIZE」にもノミネート。
メディアアーティスト、主催者
市原えつこ
mojarin@gmail.com
川島商店街(東京都中野区)