2020年度はシーズンテーマを「ともに生きる」と題し、災厄に斃れた人やモノに対する哀悼(愛惜)に焦点を据え、「失われしもの」との共生という観点からプログラミングした公演を行なった。#70では、シーズンテーマに基づいて3名の邦人作曲家(渡辺裕紀子、岸野末利加、権代敦彦)に新作を委嘱し、三者三様の圧倒的な個性が響き合う世界初演作品と、子供たち(ノマド・キッズ)の演奏参加で作品に新たな展開を期したT. ライリーの『In C』を披露した。#71では、その抱える美学的テーマによって常に変化し続けたリュック・フェラーリと、一貫したテーマを常に追い求める近藤 譲の音楽の対比から生まれるインパクトと、時空を超えた2人の作曲家の照応から沸き起こる「共生」の感動を伝える公演を行なった。
【アンサンブル・ノマド】
1997年結成。「NOMAD」(遊牧、漂流)の名にふさわしく、時代やジャンルを超えた幅広いレパートリーを自在に採り上げ、斬新なアイデアやテーマによるプログラムによって独自の世界を表現するアンサンブルとして内外から注目されてきた。第2回佐治敬三賞、2014年度ウィーン・フィル&サントリー音楽復興祈念賞を受賞するほか、海外の主要現代音楽祭にも多数招聘されている。また、近年ではアウトリーチ活動にも積極的に取り組み、国内外の学校・施設で訪問コンサートやワークショップを行っている。国内外でこれまでに20枚のCDがリリースされている。
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