美術作家の石﨑朝子・小林このみによる2人展を開催した。
小林は、物語に満たないような小さな話から想像をかきたてるように作品を制作するアーティストであり、石﨑は、風景を見たときに感じた妙なリアリティを表現することから出発して、彫刻・映像・パフォーマンスを用いて制作活動を行っている。展示企画に先立って共同で行った、渋谷のリサーチにおいて、小林は飼い犬のしっぽがヤシの木に似ていることが最近の関心であると語り、「○○にみえる」というような見立てを探すのに対して、石﨑は環境のノイズ的なエレメントや急勾配の坂や、入り込めるかかギリギリの隙間など身体と共に街に着目する。道中の両者の眼差しはごちゃ混ぜであり、まさにスクランブルな経験である。本展は、風景の中にヤシの木的な見立てを探す小林と、スケートボーダーが路上でトリックをする場を見つけ出すように、身体感覚を伴うスポットを探す石﨑の2人による、バラバラなアクションをしかけながらも、どこか混じりあうような2人のムーブを展開する場となった。
【石﨑朝子】
1996年 栃木県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。
現在同大学大学院修士課程彫刻コース2年在籍中。
ストリートのリアリティから出発した表現をテーマに、彫刻・映像・パフォーマンスを用いて制作活動を行う。
都市空間のフィールドワークを通して風景の中に見出す様々な断片を作品に変換している。
Room_412 (東京都渋谷区)
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