アーツカウンシル東京の事業

「私たちの遺産——アグネス・マーティンを介して、海と大地と島をわたって」

  • 団体名 : 進藤 詩子
  • 区分 : 国際的な芸術交流活動
  • 助成タイプ : 単年個人
  • 分野 : 美術・映像

事業概要

本事業は、20世紀アメリカ美術を代表する芸術家、アグネス・マーティンの背景にある文化・思想・芸術と、それに続く芸術家らの実践との両面に着目し、その「遺産」の領域横断性や普遍性を、国際的なリサーチと制作活動を通して検討し、示すものである。具体的には、私なりにそれを受け継ぐことで深化した作品をアメリカで個展(「the night falls and the day breaks|日が暮れて、夜が明ける」)を開催して発表し、また芸術家や研究家らと重ねた対話を示すテキストや作品を、オンラインスペース(ROOM 間 FOR FUTURE MEMORIES. scattered)を開設して発信した。事業に先立ち、私の芸術的課題(「翻訳不可能なものの表現」)に示唆を与えるものとしてマーティンの「抽象表現」に着目した研究を行ったが、それが特定の時代や地域、分野の枠を超えた豊かな広がりをみせた。それを広義での「遺産」として捉え直し、通底する平和的で創造的な「空間」への意識を明らかにし、分断が一層に深まる今日の世界の中に具体的な形で示し開いた点に、事業の芸術的で社会的な意義を見出し得ると考える。

プロフィール

【進藤詩子】
芸術家として、研究と制作を両輪とした国際的な実践を通して「翻訳不可能性の詩学」を追求している。メルボルン大学芸術学部付属学際的思想研究センター(the Centre for Ideas)にて博士号取得(2017)。オーストラリア、日本、メキシコ、アメリカ合衆国などで滞在制作や発表活動を行ってきた。近年は、光と闇の間でさまざまに「うつ(移、写、映、現)る」、濃淡や線にあらわれる「影」に着目した創作を展開。文化庁新進芸術家海外研修員として1年間(2019-2020)、ニューメキシコ州を拠点にアグネス・マーティンの「抽象表現」を探った。

実施場所

5. Gallery (サンタフェ/アメリカ合衆国)


※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。