アーツカウンシル東京の事業

物流型展覧会「手前の崖のバンプール」

  • 団体名 : 藤倉麻子
  • 区分 : 都内での創造活動
  • 助成タイプ : 単年個人
  • 分野 : 複合・その他

事業概要

物流・労働・対岸をテーマにした展覧会「手前の崖のバンプール」を東京湾にて開催した。 藤倉はこれまで、都市・郊外を横断的に整備するインフラストラクチャーや、それらに付属する風景の奥行きに注目し、主に3DCGアニメーションの手法を用いて作品制作をおこなってきた。
こうした制作テーマの延長線上で、藤倉はかねてより関心を寄せている東京都の湾岸エリアの風景を対象にリサーチ・プロジェクトを立ち上げた。リサーチには、アーティスト・ダンサーとして活動するAokid、建築設計・意匠論を専門とする大村高広、ランドスケープ史を専門とする近藤亮介、都市論を専門とする齋藤直紀が参加し、フィールドワークとディカッションを積み重ねることで、複数的な視点から港湾の風景を捉えることを試みた。
本展では、埋立地で日々繰り広げられている物流のダイナミズムと視-聴覚的なスケールに注目し、新たな空間表現を展開した。展覧会前日までに参加者にはチケットである角材を郵送される。角材には集合場所や注意事項などの情報が記載されたサイトのQRコードが貼り付けられている。展覧会当日青海客船ターミナルに集合した参加者は、「ガイド・ダンス」であるAokidの案内に従い、小型船舶に乗船して東京湾を巡る。船内では、藤倉の映像作品や、リサーチに基づいて制作したラジオなどが上映されている。Aokidは「ガイド・ダンス」として、参加者と一緒に風景を取り込んだダンスをしたり、ゲームをしたり、チェックリストに書かれている作業を行ったりする。Aokidと参加者は約40分間の航行を経て通関業者である東海海運株式会社の道具場に到着し、所定の棚に角材を格納し、運搬の対価としてリーフレットを受け取る。リーフレットには、リサーチを反映して制作された藤倉によるイメージや、近藤亮介、齋藤直樹、大村高広による論考、Aokidによるリサーチメモなどが収録されている。道具場には藤倉の映像作品や、リサーチ写真、Aokidが航行の度に記録する船内作業のチェックリストなどが展示されている。

プロフィール

【藤倉麻子】
1992年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。都市・郊外を横断的に整備するインフラストラクチャーや、それらに付属する風景の奥行きに注目し、主に3DCG アニメーションの手法を用いて作品制作をおこなっている。近年では、埋立地で日々繰り広げられている物流のダイナミズムと都市における庭の出現に注目し、新たな空間表現を展開している。

実施場所

東京湾