アーティストコレクティブである複宇宙の交差点(The Intersection of Universes (IoU))の伊阪柊とBenjamin Efratiが、中国の重慶にあるアーティストインレジデンスであるDimensions Art Center(十方藝術中心)に滞在し、重慶やその他周辺都市のフィールドワークを行い、展覧会「IoU : [Forbidden Zone]」を開催した。
「IoU : [Forbidden Zone]」では、デジタル技術の枠組みの中で、古代中国の精神的な慣習や神話の現代における新たな様相を探求した。道教、シャーマニズム、そして仏教の神話がVR作品の物語の中に組み込まれ、鑑賞者はサイバー・シャーマンの役割を演じる。VR作品を取り囲むインスタレーションを通して、IoUは観客にこの交差点という概念について考えるよう促した。
展覧会では制作過程を共有し、重慶のアーティスト、キュレーター、研究者を含め、多くの観客との対話を深めることができた。VRの技術的な側面だけでなく、哲学的な側面も統合することで、現代におけるVRの意味を問いかけた。またレジデンスのプロセスを通じて、重慶のアートシーンと活発で生産的な交流を行うことができ、コレクティブによる活動をさまざまな文脈で展開し、ネットワークを構築し、より多様なコラボレーション作品を制作する可能性を実感することができた。また、このレジデンスを通して、中国の文化的モチーフに対する理解を深め、過去数千年にわたる中国の文化的変遷をより深く理解することができた。
【Intersection Of Universes(複宇宙の交差点)】
Intersection Of Universes は2019年にメディアアーティストの伊阪柊とBenjamin Efratiによって設立された学際的なアートプロジェクトである。2人はインタラクティブ・マルチメディア・インスタレーション、VR作品、3DCG映像の制作を行い、デジタル・テクノロジー、エコロジー、スピリチュアリティに対する人間の欲求の交差点を確立することを目的に、異なる文化的文脈における「サイバー・シャーマニズム」の様々な意味に焦点を当て、世界規模で活動を続けている。
【伊阪柊】
アーティスト。チェルノブイリや火山地帯でのフィールド調査を通じ、「都市社会と自然環境の狭間で起こる現象」をテーマにした作品を多く発表している。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍時には、リアルタイム3DCG映像インスタレーション「The Sprite」を制作し、法的な空間と電磁気現象によって構成される不可視の領域の中で仮説的言説を収集した。
【Benjamin Efrati】
メディア・アーティスト、哲学者。パフォーマンスをベースに、音楽、サウンドアート、映画監督、グラフィックアートに関わる。専門はデジタルテクノロジーと先史概念の交差で、2014年からアーティストとして取り組んでいるテーマである。現在、EHESS(パリ)の博士課程に在籍し、先史時代のビデオゲーム表現に対する人類学的アプローチにより研究を行っている。
伊阪柊
shuisaka@protonmail.com
Dimensions Art Center(十方藝術中心)(重慶/中華人民共和国)
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