ニコライ・ゴーゴリの短編小説『外套』から着想を得た、5人の登場人物による会話劇。主人公アカーキイが新調した外套を奪われ、取り返す術なく亡くなった後、幽霊となって夜な夜な外套を奪うという原作の『外套』の物語を下敷きに、今作では執着すべきものがないのにこの世に存在してしまう幽霊・木田くんの怪談が、登場人物たちの語りによって誇張や脱線を繰り返しながら展開されていく。氾濫する言葉と、「ただいる」ことに困る幽霊の存在は不条理でありつつ、現代的な空虚感を生み出す。出演者はカハタレの丹澤美緒、南出達行の他、秋場清之、中村あさき、宮尾昌宏。また、創作過程において他ジャンルのファシリテーターを外部から迎えたワークショップを並行して実施し、そこでの内容を本作の劇作と演技に取り入れた。ゲストファシリテーターとしては怪談作家の蛙坂須美、演技指導者・俳優の横尾圭亮、ダンサー・振付家の浅川奏瑛を迎えた。
【カハタレ】
演技と戯曲の関係を探り、創作戯曲を上演する俳優と劇作家による演劇集団として、2021年夏、稲垣和俊が高校の同級生・南出達行と、座・高円寺劇場創造アカデミーの同期・丹澤美緒を誘って三人で旗揚げ。劇作家の「演技」が台詞を生み出すという考えのもと、戯曲、演技に還元するためのワークショップを定期的に開催している。古典作品の読み合わせなども行ない、古典作品を出発点にした現代戯曲の創作にも取り組んでいる。稽古場ブログ「カハタレ日誌」にて活動の様子を発信中。
カハタレ
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スタジオ空洞(東京都豊島区)
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