――生ける者がみな死へと歩むように、恋をすれば誰しも愚かさへ走る
　　As all is mortal in nature, so is all nature in love mortal in folly.

人は誰しも、仮面をかぶって生きている。のどかな村に暮らす若い男女［ネモリーノとアディーナ］の恋模様は、外からやって来た高慢な軍曹［ベルコーレ］や怪しげな薬売り［ドゥルカマーラ］に翻弄されながら、ホンネとタテマエのはざまで揺れ動く。彼らがそれぞれに、愛に悩み、愛を知り、愛を語り、愛を売るなか、2人の恋の行く末は「愛の妙薬」の効能に託された。しかしこの妙薬、あのトリスタンとイゾルデを別ち難く結びつけた神秘の薬とは一寸違う。なぜならそれは、ドゥルカマーラに仮面をかぶせられた、ただのワインなのだから……

■G.ドニゼッティ《愛の妙薬》
―コンメーディア・デッラルテの「アルレッキーノ」を黙役として導入する新演出

指揮：太田巡
演出：吉野良祐
ピアノ：小松桃／石川美結
出演：岩崎香／金沢貴恵／岸野裕貴／髙橋大／小野田佳祐／宮下嘉彦／小野寺光／高橋洋介／藤田沙綾／池澤真子／中村湊人　ほか
ドラマトゥルク：小野寺彩音