言論統制を行う世界を描いた映画「華氏451度」から着想を得た今回の展示は、写真と映像作品を中心に構成されている。写真群から立ち上がるフィクションの世界は、ここ数年のパンデミックや戦争といった歴史的事象をもってして、他者との関わりや共助といった場面が厳しく減少した現実世界とも絡み合う。作品を鑑賞する行為はどこまでが物語なのかを曖昧にし、鑑賞者自身も物語の一部に組み込まれている幻想を起こす。
【中村 直人】
2019年に金沢美術工芸大学視覚デザイン専攻を卒業後、東京を拠点に活動。映画や古典文学のリサーチを基に、小説や戯曲といった文学と、テキスタイルや彫刻などを複合的に組み合わせたインスタレーションを制作、発表。主な個展に「Essays for Life」(駒込倉庫、2023)。
SRR Project Space(東京都世田谷区)
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