橋本晶子、狩野志歩による二人展。
鑑賞者は事前予約のもと、たった一人で90分の時間枠を使い、自由に部屋で作品を鑑賞できる。会場はLOKO GALLERYの３階の部屋で、普段はアーティストが制作時や設置時に寝泊まりすることができる場所である。
橋本は鉛筆をつかったモノクロームの絵画を水中や棚の中などに配置した。狩野はささやかに変化する時間の堆積を映像で表し、サウンドは室外から聞こえる実際の音とも混ざり合い鑑賞者にどこにいるかわからない体感を与えた。二人の作品に通底する「ここにいながらも遠くを感じる」というテーマを軸に、画面の外に作品が続き、部屋のなかに染み出していくような空間を作り出した。本展はコロナ禍で相次ぐ展示の中止や延期に直面した2020年に、企画者（澤隆志、水田紗弥子）と、作家とともに対話を重ね、アイディアを共有し、たったひとりの「部屋」で作品と向き合い長い時間を過ごすことができたら、という思いのもと企画した。